9月第1週の国防日報は、国防予算案の国会提出、大将級人事など、李在明政権の国防政策に関するビッグニュースが満載だ。李大統領は政軍関係では尹錫悦政権時の軍の姿勢を批判しているが、対北朝鮮戦略では尹政権の方針を引き継いでいる。李政権が目指す「スマート強軍」の未来像とは?
尹錫悦政権の国防政策を継承
9月1日と4日、5日のヘッドラインは、2026年度国防予算案が国会に提出されたことを伝えたもの。韓国の政府予算年度は日本と異なり1月1日から12月31日まで。そのため韓国政府は8月29日に閣議を開き、26年度予算案を決定した。
その規模は前年度比8%増の728兆ウォン(約77兆円)で、そのうち国防予算は66兆3000億ウォン(約7兆4000億円)となる。予算は12月に確定する。
日本でも日本の防衛費が過去最大(約8兆8000億円)で計上されることが報じられたが、韓国の国防予算も過去最大で、前年度比も過去最高の伸び率となった。これらの背景には、中国の強まる海洋進出と台湾侵攻の可能性、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、北朝鮮による核・ミサイル開発とロシア派兵など、安全保障環境の悪化がある。
しかし、最大・最高を記録した要因はこれらだけではない。トランプ政権による国防予算増の要求が大きく影響している。李大統領は米韓首脳会談直後に行った米国のシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)での演説で「国防費を増額する」と述べていた。
韓国メディアは、米韓が国防費の対国内総生産(GDP)比3.5%で合意したと報じている。この背景には、米国から国防費増額の要求を受けた北大西洋条約機構(NATO)が35年までに直接国防費3.5%、間接投資額1.5%のあわせて5%(いずれも対GDP比)へ引き上げる決定をしたことがある。韓国は前年比7.7%で国防費を増額させ続ければ、35年までにこの目標を達成できるという。

