2025年12月5日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年9月15日

 朝鮮日報の8月22日付け社説が、李在明とトランプは第一歩を踏み出したが本当の交渉はこれからだ、と述べている。主要点は次の通り。

2025年8月25日、ワシントン、ホワイトハウスの大統領執務室で、韓国の李在明大統領(左)がドナルド・トランプ米大統領と会談している。(YONHAP NEWS/アフロ)

 李在明とトランプの初めての首脳会談は、外交・安保・貿易について多くの人々が懸念していたような混乱や衝突もなく終わった。専門家達は、今回会談は今後の米韓関係に建設的なトーンを作り出したと分析する。

 ニューヨークタイムズ紙は、李在明がトランプの1987年の著書『取引の技(The Art of the Deal)』を研究しており、トランプの「お世辞」に対する執着心が李在明の最初の首脳会談を旨く乗り切る助けになった、と報じた。しかし、大きな課題や両国が長年対立してきた問題についてはほとんど進展がなかった。

 両首脳は同盟の近代化の必要性を確認したが、在韓米軍の役割を再定義するといった具体的合意はなかった。批判者達は、韓国が経済・貿易問題で成果を得られず、手ぶらで会談を終えたと主張している。

 韓国は、既に合意済の3500億ドルの投資に加え、新たに1500億ドルの(韓国企業の)投資計画を出したが、半導体や自動車関税、原子力協力といった核心的課題で譲歩を引き出すことはできなかった。

 報道によれば、韓国は自動車関税につき日本や欧州連合(EU)に適用される水準より2.5%ほど下げ、12.5%にすることを求めたが、米側はこれを拒否したという。また、対米投資計画の中味についても双方の溝は埋まらなかった。韓国側は投資の大半は貸付や保証で構成され、損失リスクは最小限だと主張する一方、米側は事業が失敗すれば元本を失う可能性のある直接投資を求め続けている。


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