必要な時の北朝鮮との対話は必要だが、そのためには日米韓等で十分に戦略を練るなどの準備と賢明な判断が必要だ。過早な行動は、北の核容認や対北制裁の撤廃だけに行きかねない。
なお、李在明は、8月21日の読売新聞の会見記事で、北朝鮮非核化につき、第1段階で核とミサイルの開発凍結、第2段階で縮小、第3段階で非核化を目指すと三段階論を述べている。しかし重要なことは細部にある。
トランプとの首脳会談は常に内容や結論が曖昧になる。今回首脳会談も結局何が議論されたのか、はっきりしない。
韓国が重視するとしていた原子力協定改定や在韓米軍の取り扱い、対米投資約束などは先送りにされたようだ。この社説も言うように、無難に終わったこと自体が最大の意義だろう。米国の一部にある李在明への不信感も、やや改善したかもしれない。
重要となる日韓関係
李在明は、8月25日に米国のシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)で米韓関係、防衛費増額や北朝鮮問題等について講演した。北朝鮮については、対話の必要性に言及した。
また「もう一人のパートナーは日本だ」として、訪米の前に訪日したことに触れ、米国と共に三国協力を進めると述べた。韓国のNPT遵守の維持にも言及した。
質疑応答の際、ハムレ(CSIS所長)が、李在明は親中過ぎるとの批判があると質したのに対し、李在明は、韓国は安全保障は米国に、経済は中国に依存している(いわゆる「安米経中」)と言われるが、韓国は今や米国の基本政策を超えて行動することはできないと応答した。
李在明が訪米に向かう途次、8月23日に訪日し、石破茂首相と会談したことは良かった。韓国の決断は評価できる。
また、訪日を控え、李在明は慰安婦問題等これまでの合意は守って行くことが必要だと述べた。8月15日の李在明の光復節演説も抑制的だった。
これまでの李在明の対日言動を考えると、まだ李在明の信頼性に自信を持てない向きがあるかもしれないが、今の李在明の姿勢は重要だ。日本側もそれに呼応していくべきだろう。
