国防日報は引き続き李在明政権の国防政策に比重を置いて報じている。小欄『韓国軍機関紙『国防日報』で追う』でも政策に関する内容が続いたので、少し視点を変えてみる。
朝鮮半島で唯一、南北に分断されている自治体、江原道に大規模なK-POPスタジアム建設が計画されているが、そこには分断で苦しむ地元事情がある。もう一つは、韓国海軍の艦艇への命名から垣間見られる日本観を紹介する。
韓国と北朝鮮が観光地化を進める江原道とは
15日のヘッドラインは、江原特別自治道(以下「江原道」)春川市で開かれたタウンホームミーティングでの李在明大統領の発言を伝えたものだ。江原道は日本海に面する地域で、38度線を経て北朝鮮と接している。李大統領の「北朝鮮隣接地域という事実が『悪の運命』と思われないよう、政府が格別な配慮をする」という言葉の背景には、80年続く分断の歴史がある。
江原道は多くの韓国人にとって、雪岳山の紅葉、東海岸の美しいビーチ、そして平昌オリンピックの記憶が蘇る憧れの観光地だ。ところが、38度線沿いでは、同線から民間人統制線までの10キロメートル以内の軍事施設保護区域では厳格な規制が敷かれ、住民の日常生活に深刻な影響を与えてきた。
同区域は9つの市郡におよぶが、うち5つが江原道に所在する。これら区域での自由な開発は夢のまた夢となり、若者はソウルへと流出し続けた。
だが皮肉なことに、江原道の手つかずの自然を守ってきたのはこの制約だった。文化体育観光部長官が「アマゾンに匹敵する、平和を象徴する清浄な生態系」と表現したように、軍事的緊張が意図せず環境保護の役割を果たしてきた。しかし、地域住民にとってそれは「国家のための犠牲」以外の何物でもない。
李大統領の発言の真意は、この「不公正な現実」への根本的な見直しにあるようだ。「特別な犠牲には特別な補償が必要」という政治哲学にのっとり、国防部に軍事施設保護区域の大幅な規制緩和を指示した。

