暴力が暴力を生み出す懸念も
いずれにせよ、全体として、ほとんどのアメリカ人は、政治的目的を達成するための暴力は決して正当化されないと回答しており(72%)、正当化される可能性があると回答したのは11%である。
注目に値するのは、YouGovが2025年に行った世論調査によれば、リベラルも保守も、互いに相手方が行っている暴力の方がより大きな問題だと回答していることだろう。これは、人々の認識が党派によって顕著に分かれていることを示している。先ほども指摘したとおり、近年の政治的暴力は党派に関わらず発生しているが、暴力は対立陣営によるさらなる暴力を誘発する傾向があるため、注意が必要だ。
「頭をたたき割るのではなく、頭数を数えるのが民主主義」という格言がある。立場の異なる人と対話をして問題の解決を図るのではなく、問答無用で、暴力的に異なる立場の人を排除しようとする傾向が強まっている現状は、アメリカの民主政治に大きな課題を突き付けているといわざるを得ないだろう。

