2025年12月5日(金)

勝負の分かれ目

2025年10月15日

 PSでの好投には、スポーツ紙でも各紙の評論家が「抑えは朗希で決まり」(10月6日付サンケイスポーツ・小早川毅彦氏)、「まさに救世主 22年完全試合時に戻った」(同11日付スポーツニッポン・槙原寛己氏)などと絶賛する。 

 23歳の佐々木投手は今季、25歳未満またはプロ6年目未満の海外選手の契約金や年俸の総額が制限される「25歳ルール」によってマイナー契約からスタート。開幕メジャーを勝ち取って先発ローテーションの一角として開幕を迎えたが、8試合に先発して1勝1敗、防御率4.72と苦戦し、5月に右肩負傷で離脱した。

 その後、傘下の3Aオクラホマシティでのリハビリ登板でも先発では結果を出せなかった。しかし、中継ぎで起用されると、2試合に投げて2回を無安打無失点3奪三振と“適性テスト”をクリアし、シーズン終盤にメジャーの舞台へと舞い戻った。

〝復活〟に導いた存在

 短いイニング限定とはいえ、わずか4カ月で見違えるような投球へ変貌を遂げた裏に何があったのか。

 佐々木投手は、フィリーズとの第4戦後の現地で、こんなことを明かしている。

 以下は、10月10日配信のMLB.COMの「【一問一答】佐々木朗希、3回パーフェクト、MVP級の好リリーフ」の引用だ。

―アリゾナ(の施設)でどういうアドバイスを得て変化したのか

 「そうですね。マイナーでリハビリしている途中、投手コーチ(のような方)としゃべって、その人がどう思っているかという投球フォームに関して話を聞いて、その中でどこが問題かという話を聞いて、自分の中でうまくいっていないところと一致する部分があった。そこから(フォームを修正する)アプローチはまた別ですけど、そこでお互いに問題というか、悪くなっている要因のところは(認識が)一緒だという確認ができました」

 再生のキーマンとなったこの人物は、ロブ・ヒル投手ディレクターだ。

 ヒル氏は、動作解析などを専門とするトレーニング施設「ドライブライン」に在籍時代からメジャーのトップ選手の信頼を得て評判を呼び、2019年に当時24歳の若さでドジャースへ入団した。

 9月25日付の「Number Web」の記事「佐々木朗希のナゾ『なぜ落ちた球速が急激に上がった?』ロバーツ監督も口にした“重要人物”の正体…リリーフ崩壊ドジャースを救う“電撃復帰”ウラ側」は、ヒル氏について、「カリフォルニア州にあるウエストモント・カレッジの大学時代にコミュニケーション学を専攻したヒル氏は、投手を指導するときに複雑な情報をいかにわかりやすくかみ砕いて伝えられるかが何よりも大事だと実感し、大学で学んだことをコーチングに大いに役立てたという」と紹介する。

 日刊スポーツの11日付記事は「春キャンプでも指導を受けたピッチング・コーディネーターのロブ・ヒル氏と話し合い、フォームの改善に取り組んだ」と掲載。さらに12日配信の続報では、ヒル氏が地元の専門メディア「ドジャースネーション」のインタビューに答えた内容を引用した。

 記事中では、ヒル氏が投手パフォーマンスコーディネーターのイアン・ワルシュ氏とともに佐々木投手とミーティングを行い、佐々木投手が見せた22、23年の投球フォームのビデオから「腰の回転が早まっていたことが、すべてを殺していた」と原因を突き止めて、復活につなげたことを取り上げた。


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