2025年12月5日(金)

勝負の分かれ目

2025年9月10日

 プロ野球のセ・リーグは、阪神タイガースが2年ぶりにペナントレースを制した。

 優勝を決めた9月7日時点で、78勝45敗3分けと圧倒的な強さを見せつけ、2位巨人とは17ゲーム差。2リーグに分立した1950年以降、これまでのリーグ優勝の最速は90年の巨人の9月8日だったので、これを更新する史上最速でのリーグ優勝だった。

阪神タイガースが圧倒的な強さでリーグ優勝を決めた(産経新聞社)

 圧倒的な強さによって議論が再燃しそうなのが、プレーオフのクライマックスシリーズ(CS)開催の是非だ。リーグ優勝とは分けて、日本シリーズ進出チームを決めるCSは、昨季のDeNAベイスターズが3位からの“下剋上”で日本一を勝ち取ったことも記憶に新しい。

 しかし、2位以下が勝率5割を切っている今季のセ・リーグでも、野球ファンはCSを望むのか。阪神の優勝は、レギュラーシーズンで大差が付いた場合のCSの在り方に一石を投じることになるだろう。(※数字や順位はいずれも、阪神の優勝決定時)

「143試合のペナントレースのチャンピオン」

 45歳の若き指揮官、藤川球児監督が甲子園で宙に舞った。チーム得点数「437」はリーグ最多で、失点数「296」はリーグ最少。まさに「攻守」に力の差を見せつけたてのリーグ制覇で、球団創設90周年の節目に花を添えた。

 優勝を決めた9月7日時点でのチーム勝率は.637。2位の巨人以下の5チームは全て勝率5割を切っていた。阪神が貯金33を独占した「1強5弱」の軌跡を振り返り、藤川監督は優勝インタビューでこう胸を張った。

 「143試合はペナントレースという競技で、ペナントを取る、その1チームだけがチャンピオンですから、我々がリーグチャンピオンです。なので、この後のファイナルステージ、クライマックスシリーズというのは私たちにとっては別のステージになります。このリーグチャンピオンというのは絶対消えないので、これを胸に、また別のゲームをみんなで戦っていきます」

 指揮官の言葉に2つの大事なキーワードが込められていた。「143試合のペナントレース」と「別のゲーム」だ。

 ペナントレースの優勝チームは記録として残り、CSはあくまで日本シリーズに進出するチームを決める戦いである。指揮官の言葉を借りれば「別のゲーム」となる。


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