2025年12月6日(土)

勝負の分かれ目

2025年9月10日

 現行ルールでは、2位と3位のチームがまずCSファーストステージ(3戦制)で戦い、勝者が優勝チームと日本シリーズ進出をかけてCSファイナルステージ(最大6試合制で4戦先勝)を戦う。

 2007年からセ・パで同時導入(04~06年はパのみがプレーオフを実施)され、08年からは、シーズン優勝チームにアドバンテージ1勝が付与されるようになっている。このほか、いずれのステージもリーグ上位チームのホームで戦うことも有利な要因とされる。

ビジネス面ではメリットも

 藤川監督が「別のゲーム」と評するように、長丁場のペナントレースは、現有戦力を駆使していかに好不調の波を抑えて戦うことができるかという「総合力」で争うのに対し、CSは「短期決戦」での勝負となる。

 CSは過去、コロナ渦の20年を除いて16度実施され、セ、パともにシーズン優勝チームが13度、日本シリーズへ進出している。優勝チームが日本シリーズへ進出する確率は8割以上だ。

 この数字を高いとみるか、低いとみるか。パは優勝チーム以外から勝ち上がった10年のロッテ、18、19年のソフトバンクが全てで日本一に輝いた。セも昨季、初めてDeNAが日本一へと駆け上がった。

 CSの導入は、興行面と深く関係する。今季の阪神のように首位が独走した場合、他球団のファンは球場から足が遠のきやすい。しかし、3位までに日本シリーズ進出の可能性があることで、3位までに食い込める可能性のあるチームのファンは、「CS争い」によってシーズン終盤まで盛り上がることができる。

 例えば、今季のセは阪神が優勝した時点では、5位の広島までCS進出の可能性は残っている。CSによって、リーグ全体の“消化試合”を減らすことで、プロ野球界の観客動員数の上昇傾向にもつながっている。CSという新たな試合開催による恩恵ももたらされる。

 一方、今季の阪神のように早々に優勝したチームは、CSファーストステージの期間中に試合がないことで実戦間隔が空くなど、調整が難しくなる。昨季も優勝した巨人から8差と引き離されたDeNAが日本シリーズに進出したことで、「CS改革」を求める声が評論家などからも聞かれた。その多くは、シーズンのゲーム差が「5」や「10」と一定以上に開いた場合、ファイナルステージにおけるアドバンテージの勝利数を上積みするというものだ。

 巨人やメジャーリーグで活躍した上原浩治氏は、8月31日放送のTBS系「サンデーモーニング」に「スポーツご意見番」として生出演した際、「ルールとして(CSに)3位まで出られますけど。5割を切っているんですよ、2位以下が。それで日本シリーズにもし出て優勝したら、『どうなの?』っていう疑問が残りますよね。阪神に(日本シリーズへ)行ってもらうぐらいのルールを作った方がいいんじゃないかなという気はします」と、阪神独走の状況でもCSが開催されることに違和感を唱えた。


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