外資のJリーグ参入に関しては未知数な部分があるものの、グローバル展開やブランド価値の高まりという観点では、Jリーグにとって大きな一歩であることは間違いない。クラブ経営の国際化という流れは、今後さらに加速していくだろう。
Jクラブの上場でさらなる多様化への期待
こうした新興企業の参入は、資金力と経営ノウハウの注入により、クラブの経営安定化と競技力向上をもたらしている。データ分析による強化、ファンサービスの多様化、ECやデジタルチケットの整備など、スタジアム周辺の体験価値も格段に向上した。
同時に、スポンサー企業へのPR効果や地域経済への波及効果も大きい。ジャパネットの長崎モデルのように、クラブが地域振興の中心に立つ動きも現実のものとなっている。
また特定の大口オーナーを持たないクラブにおいても、例えば、いわきFCのように積極的なマーケティング戦略と地域一体型の融合により、成長を続けている事例も出てきている。どういう運営体制にしても、時代の潮流を掴みながら、明確な戦略を立てていかないと、競争に生き残っていくことはできない。
24年にはJクラブの上場(IPO)が解禁され、資本調達の多様化が現実味を帯びてきた。鹿島の小泉社長が主張する「地方クラブこそDXで効率化を進めるべき」という視点は、全国に60クラブが散らばり、新たにJリーグ入りを目指すクラブも絶えない中での1つの指標になりうる。
伝統的に”お金は出すが口は出さない”というのが、プロクラブのオーナーシップの美徳とされてきた。フットボールの専門性が現場レベルではなお、その理念も大事だが、そうした部門のアサインも含めて、現代の競争社会における発展的な関わりが求められてきていることは間違いない。
