サッカー日本代表が国際親善試合で、ブラジル代表を3-2で逆転勝ちした。ワールドカップ(W杯)を史上最多5度制覇している「サッカー王国」からの初勝利で、歴史の扉を開いた。
Jリーグが発足した1993年から30年あまり。レベルは格段に上がり、世界と戦えるまでとなった。
ただ、変わっていったのはプレーだけではない。クラブ経営も変化を続ける。この10年ほどで顕著になってきたのが、IT企業や新興企業によるクラブ経営参入の加速である。
かつては旧財閥系やメディア企業、自治体系企業が中心だったクラブオーナーの構造が完全に様変わりしている。クラブを「支える」から「投資し、成長させる」存在へ。Jリーグの経営モデルは今、大きな転換期を迎えている。
ここ最近の動きとして注目されるのが、横浜F・マリノスの株主構成を巡る問題だ。親会社である日産自動車の経営悪化が伝えられる中、マリノスの完全売却を検討しているとの報道が複数のメディアで相次いだ。一部では家電量販大手ノジマによる完全買収との報道も流れたが、チームがJ1残留争いの渦中にある中で、日産は「筆頭株主であり続ける」との声明を発表している。
ただ同時に、クラブの財務的な持続可能性を高めるため、株主構成の見直しを進めていることも明らかにした。いずれにせよ、近い将来、何らかのテコ入れが行われるのは確実だ。また、2015年から続いてきたシティ・フットボール・グループ(CFG)とのパートナーシップ契約も24年6月末で終了。クラブ体制の転換点を迎えている。
10クラブによって幕を上げたJリーグは、現在ではJ1からJ3まで拡大し、地域に根ざしたプロクラブ文化は全国へと広がった。当面は3カテゴリー60クラブを上限として、ライセンスを持つクラブのシーズン成績に伴う入れ替わりで、Jリーグは維持されていくことになる。クラブ経営の最前線に迫った。
