2025年12月6日(土)

古希バックパッカー海外放浪記

2025年10月19日

年金生活者を歓待する地元のオジサン達はモスクの礼拝時間待ち

イズミック(旧名:ニケーア)のアヤソフィア・ジャーミイ。4世紀に 建設されたバシリカ聖堂。787年に第7回キリスト教公会議が行われた。1331年 にオスマン帝国皇帝の命でモスクに改修された

 7月8日夕刻。イズミック(旧名ニケーヤ)の手前の村の公園でテント設営。ちなみにニケーアは西暦325年に、三位一体説をキリスト教の正統の教義と決定したニケーア公会議が開かれた都市である。313年にミラノ勅令によりキリスト教を公認したローマ皇帝コンスタンティノスが自ら主宰したのがニケーア公会議である。

 当時は現在のトルコの東南部がキリスト教信仰の中心地だったのだ。現在ではもちろんキリスト教徒はイスタンブール以外にはほとんどいない。ニケーア付近も完全に回教徒社会である。現在のトルコは総人口8700万人の99%が回教徒というイスラム大国なのだ。

 村のチャイハネ(紅茶・コーヒーなどを提供する喫茶店)でトルコ紅茶を注文すると隣のテーブルのオジサンたちは興味津々。日本人と分かると口々に日本を賞賛しているようだ。ボーイを呼びつけて紅茶と冷えたミネラルウォーターを筆者のために注文して、勘定は俺たちが払うと仕草する。他のテーブルの男達にも日本人が来たと大声で伝えている。あちこちでジャポン(日本人)という声が聞こえる。夕方の礼拝前の村人たちにとり日本人が出現したことは興奮するニュースのようだ。

 ちなみにチャイハネは、トルコ全国津々浦々にあり地元の男たちの社交場となっている。夕刻にはカードゲームやマージャンのようなゲームで多少のお金を賭けて丁々発止の勝負を楽しむ男達で一杯になる。日中の暑熱を避けるためしばしばチャイハネで休憩したがほとんど地元の男たちがお茶代を払ってくれた。

お主はどこから来たのか「チン、コレ、ウイグル、アフガン?」

 トルコ滞在中に頻繁に聞かれたのが「チン(中国)、コレ(韓国)、ウイグル(中国系ウイグル族)、アフガン(アフガン難民)、カザフスタ二……?」という質問である。観光地以外で最初からジャポン(日本人)かと聞かれることは非常に稀であった。

 実は80日間のトルコ周遊中に日本人と話したのは最終日にイスタンブールのローマ水道橋で出会った新婚カップルの2人だけであった。定年退職後の過去12年間(コロナ禍を覗き)毎年8~9カ月海外放浪して日本人の海外旅行客の減少を実感してきた。特にトルコは円安、物価高(特にホテル、レストラン、名所旧跡の入場料がバカ高い)のため日本のグループツアーが激減していると聞く。新婚さん以外はエフェソス遺跡で観光バスに乗った日本人グループツアーを遠目に見かけただけである。

 他方、有名観光地では毎日中国人や韓国人の観光客に何度も遭遇した。それゆえ東洋系風貌の筆者に対して中国人か韓国人かと聞いてきたのであろう。またトルコはイスラム教徒の難民を寛容に受け入れているので東洋系風貌の多いウイグル人、アフガン人、カザフスタン人かと聞いて来たのであろう。

ガソリンスタンドは自転車旅のオアシス

古都ブルサ付近のガソリンスタンド。トルコのがガソリンスタンドでは 通常レストラン、コンビニ、休憩所、トイレなどが併設されている

 自転車旅では早朝から深夜まで営業しているガソリンスタンドで休憩することが多かった。トルコは車社会であり人口増に伴い年々自動車保有台数が増えている。幹線道路は原則片側二車線、広い路側帯もあり舗装状態も非常に良い。日本の一般国道よりも格段に整備されていると感じた。路側帯は幅が3メートル以上もあり舗装状態も車線同様に良好なので自転車は車両を気にせず安心して走れる。

 拡大する車社会の中でガソリンスタンドは成長産業のようであり新規出店を頻繁に見かけた。従業員は手が空くとトルコ紅茶を飲みながら喫煙している。しばしばガソリンスタンドに立ち寄り従業員と親しくなりトルコ紅茶をご馳走になった。

 さらに冷えたスイカやメロン、トルコ風ドーナツ、トルココーヒー等など様々なオモテナシを受けた。やはり日本人と分かると彼らのテンションが上がりオモテナシがエスカレートするようだった。

 さらにマルマラ海近くのスタンドではランチにバナナ、トルコ風煮込みハンバーグを頂いた。またエーゲ海のフォチャのスタンドでは「暑いからシャワーで汗を流せ」と嬉しいオファー。従業員用のシャワーを使わせてもらった。

以上 次回に続く

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