加えて、注目されるのは防衛産業企業への視察だ。韓国航空宇宙産業(KAI)やハンファエアロスペースなど主要企業を訪れ、先端武器の開発や輸出状況をチェックする。
グローバル市場で急成長する韓国の防衛産業は、もはや国家戦略の柱だ。国会レベルでの後押しに、業界の期待も大きい。
国防政策を悩ます少子化
国防部の安奎伯(アン・ギュベク)長官が打ち出した方針は「国民に信頼される先端強軍」というもの。その柱は①複合的な安保脅威に対処できる強軍の育成、②本来の任務への専念による信頼回復、③処遇改善による将兵の自負心向上――の3つで、李大統領の意向を強く反映している。同時に「強軍」が象徴するように、AIや先端科学技術を活用した革新的な国防力の構築にも力を注ぐ。
他方で、韓国の少子化は国防政策に影響を与えており、緊要な課題となっている。安長官は将校と下士官の離職問題を「国家安保の最優先課題」と位置づけ、給与や福祉の大胆な拡充、キャリア開発支援、除隊後の社会進出支援など、包括的な改善策を示した。
安長官は「軍での経験が個人の未来も国の安全も明るくする」と希望的観測を口にしているが、現状は厳しい。大企業や公務員への人気が集中する韓国の就職事情にもかかわらず、職業軍人の離職者数は過去最高を記録した。
2023年の中途除隊者は9481人(前年比24%増)で、15年以降7000人台で推移していた水準を大幅に上回った。若年層の減少とともに韓国軍の根幹を揺るがす中途除隊者問題への対策は容易ではない。
