2025年12月5日(金)

Wedge REPORT

2025年10月22日

 こうした残念な事件もあったが、万博関係者が描くミャクミャクの閉幕後の展望は明るい。ミャクミャクを中心とした公式グッズの売上高は8月末時点で約800億円にのぼり、ライセンス事業収入を大きく伸ばす可能性が高いことから、万博協会は閉幕をもって終売とせず、販売期間を来年3月末まで延長した。

 公式グッズは、ライセンス契約を結ぶ約400社が約6800種類を販売。公式商品は価格の8%程度がロイヤルティーとして企業から協会に支払われ、ここから万博の知的財産管理団体に一部が割り当てられ、残りが万博の運営費に入る契約となっている。

 オフィシャルストアのうち、会場外の15店舗を閉幕後も一定期間営業することも決定した。協会が持つミャクミャクなどの知的財産権についても、閉幕日までとしていた使用期限を来年3月まで延長した。4月以降は、万博の理念継承など使用範囲を制限したうえで、国や地方自治体などが引き続き使用できる。

各地のイベントに引っ張りだこ

 閉幕後もキャラとしてのミャクミャクは人間の世界で活動を続けている。「大阪・関西万博公式ライセンス商品」のXで10月15日、「ミャクミャク、今日からお休みをいただきます」と告知したが、わずか3日後の18日には「おやすみ期間、終了~! 今日からみんなに会いに行きます!」と復帰を宣言。この日は関西を飛び出し、大丸東京店での「大阪・関西万博オフィシャルストア大丸松坂屋百貨店」のイベントに登場した。万博協会関係者によると、各地のイベントから派遣のオファーが相次いでおり、今後も姿をあらわすことになりそうだという。

ミャクミャクはXで、今後も活動することを伝えた(2025大阪・関西万博公式ライセンス商品Xアカウントより)

 閉幕日に万博会場の大阪ヘルスケアパビリオンの閉館イベントでは、大阪府公式マスコットキャラクターで「大阪府広報担当副知事」のマスコット・もずやんとともに登場した吉村洋文知事が、ミャクミャクに関し「どうしようかなと思ってます、今。広報担当をね」と言及。ミャクミャクを抜擢することに含みを持たせた。

 万博最大の功労者は、全国に「万博成功」を印象付け、閉幕後も開催の余韻を伝えるだけでなく、ビジネスで実利を生み、行政にも影響を及ぼし続ける予感がある。「今、この時代に万博を開催する意義は何なのか」などと大上段から論じられてきた万博だが、案外、最大のレガシー(遺産)はミャクミャクなのかもしれない。

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