2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年6月26日

 この点に関して、米国が方針を改めるならば、モディ氏自身も米国に対する苛立ちを抑える必要がある。また、モディ氏は、いろいろな問題に関して、インドの政策を明確にしなければならない。ここ数年、インドの外交政策は定まらず、アジア地域や国際社会での存在が薄れていた。

 インドの前政権が、力を失い、国内政策、対外政策の両方において、その場凌ぎの政策を取っていたからである。それは、前政権が、昔の、まだ開発途上国に数えられていた時代の、そして反植民地主義の風潮と、中国が力を行使するようになった新しいアジアにおいてインドが取るべき立場との間で、どのような外交政策を取るべきか態度を決めかねていたせいでもある。その結果、インドは、経済的、軍事的、政治的にも、インドにとって利益となる米国との関係を築くのに尻込みすることになった。

 最も古くからの民主主義大国である、米国とインドが協力関係を築くことができれば、アジアの安定、国際社会の繁栄、そして、民主主義の普及と人権問題の解決に貢献できるであろう、と述べています。

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 ザカリアは、国民会議派の領袖だった父とインド・サンデー・タイムズの編集者であった母の間に生まれ、本人はイエール大学でYale Political Union のpresident に選ばれた、インド系の名門の秀才であり、Foreign Affairs誌、Newsweek誌、Time誌の編集も務めた、インテリです。従来の論説も、該博な知識の上に立った公正なものが多いです。 

 モディ新首相が米国入国ビザを拒否された時期があったことの経緯は、典型的なアメリカの国内政治から来るダブル・スタンダード(慰安婦問題にも共通するところあり)であるということも、上記説明でよく分かりました。

 しかし、今回、アメリカは、早速にモディ氏を米国に招待しています。なぜ、こんなに早く招待状を出して、早期に関係修復に乗り出しているかの背景も上記の記述で分かります。

 米印間の関係修復は、日本としても歓迎するところで、日印関係はもともと良好なのですから、新政権との関係強化を整斉と進めて行けばよいと思います。

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