議会での攻防
司法の場だけでなく、議会でも水面下の戦いが続いている。「一つの大きく美しい法案（OBBBA）」は、トランプ大統領が署名した包括的な法案だが、当初ここには「州が勝手に農薬の警告を義務付けることを禁止する」という条項が盛り込まれるはずだった。しかし、民主党などの抵抗により、この決定的な一行は削除された。
そこで産業界は、毎年の予算案の中にこっそりと「州の権限を無効化する」条件を書き込む作戦に出ている。これは現在進行形の攻防だが、最高裁の判断が出されたときには、法案は不要になる。
ラウンドアップのイメージは変わるか
そもそも米国で大規模なラウンドアップ裁判が起こった背景には、EPAをはじめとする世界のリスク評価機関が「発がん性はない」と判断しているグリホサート（ラウンドアップの有効成分）に対して、国際がん研究機関（IARC）だけが、「おそらく発がん性がある」という「疑惑の判定」を行ったことと、これを利用した米国法律事務所の「訴訟ビジネス」がある。米国の特殊事情で発生した大規模訴訟がこのような形で終結することは誰も予想もしなかったが、これで「米国の裁判で負けているのだから、ラウンドアップはやはり危険」などと言う誤解が解消することを願う。
