ショーン・コクラン王室担当編集委員
イギリス国王チャールズ3世(77)は12日、自分自身のがんについて「良い知らせ」を共有し、早期診断と「効果的な介入」により、新年から治療を減らせると明らかにした。
国王は、がん治療推進キャンペーン「Stand Up To Cancer(がんに立ち向かう)」のため英民放チャンネル4で放送された録画メッセージの中で、「この節目は、自分にとってありがたいことだというのと同時に、がん治療がいかに素晴らしく進歩してきたかの証でもある」と語った。
チャールズ国王は2024年2月に、がんの診断を公表。経過が良好だという今回の発表は、国王の健康についてそれ以来の重大な発表となる。国王のがんの種類は公表されていない。
国王は、治療と経過観察は続くものの、「早期診断は命を救う」と強調した。
バッキンガム宮殿によると、国王の回復は非常に前向きな段階に達している。国王が「治療に極めて良好に反応している」ため、医師団は治療を「念のための段階」に移すという。
治療の頻度は大幅に減る予定だが、国王の状態は寛解や「治癒」とは表現されていない。
「本日、早期診断と効果的な介入、そして『医師の指示』に従ったおかげで、私自身のがん治療のスケジュールを、新年から減らせるという良い知らせを共有できる」と、国王は12日放送の演説で話した。
このビデオメッセージは2週間前、ロンドンにある居宅クラレンス・ハウスで収録され、12日夜にチャンネル4の「Stand Up To Cancer」番組で放送された。「Stand Up To Cancer」は、英がん研究基金と共同での募金プロジェクト。
このキャンペーンは、より多くの人にがん検査を受けて全国的なスクリーニング制度を活用するよう促すもの。国王はメッセージの中で、がんを早期に発見するための検査の重要性を強調した。
「がんだと診断されると、最初はどうしていいかわからなくなることがある。それは私自身の経験から、承知している。しかし、早期発見こそが治療の過程を大きく変えるし、医療チームに貴重な時間を与える鍵だということも知っている」と国王は語った。
国王は、早期発見で命が助かるかもしれないとして、「あなたの命、またはあなたが愛する人の命がそれにかかっているかもしれない」と強調した。
国王はまた、「一人一人のがん患者を取り巻く、『ケアの共同体』としか呼べないものに、深く心を動かされた。それは専門医、看護師、研究者、そして命を救い改善するために献身的に働くボランティアたちだ」と述べた。
キア・スターマー英首相は、国王の発表は「力強いメッセージだ」と述べた。「新年に国王のがん治療が減ることを知って、いかにうれしいか、国全体を代表してそう言えと思う」とも、首相は話した。
チャールズ国王はこれまで自分の病気について、ほとんど公に語ってこなかった。
病人扱いされるのを好まない様子で、海外訪問や、ドイツ大統領の訪問を含む国賓の接遇など、多忙な日程を維持してきた。
10日には、ウェストミンスター寺院で行われた、イエス・キリストの生誕を待ち望む「降臨節」のミサに出席し、前向きな希望について語っていた。
12日夜放送の「Stand Up To Cancer」番組では、複数の著名人が司会を務め、がん検査を恐れないよう呼びかけた。
英がん研究基金によると、イギリスで国民保健サービス(NHS)の公的医療制度で利用できる検診制度を推定900万人が十分に活用していないことから、番組では、乳がん、大腸がん、子宮頸がんの検査を受ける資格が自分にあるか確認できるオンラインツールを紹介した。
国王は、このことは900万人もの人が検査を受けずに「がんの早期発見の機会を逃している」ことになるため、「非常に心配だ」と述べ、オンラインの受診資格確認ツールを利用するよう促した。
「統計は厳然たる事実を示している。例を一つだけ挙げると、大腸がんが最も早期に発見された場合、10人中およそ9人が少なくとも5年間生存する。診断が遅れると、それは10人中1人にまで減ってしまう」と国王は述べた。
王室関係者は、国王が大腸がんに言及したことと、本人の病状を関連付けるべきではないと話す。国王が前立腺がんでないことは、すでに発表されている。
がん検査の不安を取り除き、早期診断の価値を示すため、番組ではケンブリッジにあるのアッデンブルックス病院とロイヤル・パップワース病院のがん病棟から生中継が行われた。
番組を司会した一人、ダヴィナ・マコールさん(58)は11月初めに、乳がん手術を受けて間もないことを公表した。マコールさんは番組で、「がん検査の恐怖を取り除き、誰もが一人ではないことを示したい」と強調した。
イギリスでは現在、特定の年齢層を対象に、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの3つのNHSがん検診制度がある。
新しい肺がん検診制度も、現在または過去に喫煙していた55~74歳の高リスク層を対象に、徐々に導入されている。
男性は前立腺がん検査について相談できるが、全国的な制度は存在しない。
「Stand Up To Cancer」プロジェクトは2012年以来、1億1300万ポンドを集め、1万3000人のがん患者を対象にした臨床試験73件について、資金提供している。
英がん研究基金のミシェル・ミッチェル最高責任者は、著名人ががんについて率直に語ることで、他の人が検査を受けるきっかけになると述べた。
「がんの早期発見は、その後の治療を本当に大きく変える。治療成功につながる、最良の機会を提供する」
(英語記事 King says he can 'share the good news' his cancer treatment will be reduced)
