2026年男子ワールドカップはアメリカ、カナダ、メキシコの共同開催で、決勝戦は米ニューヨークで開かれる
国際サッカー連盟(FIFA)は16日、来年のサッカー男子ワールドカップ(W杯)の104 試合すべてで「より手頃な」60 ドル(約9300円)のチケットを少数販売すると発表した。チケットの価格体系をめぐっては、高すぎるとの批判が巻き起こっていた。
FIFAは新価格のチケットについて、W杯出場を決めた国の「忠実なファン」に一定数、販売されるとしている。
内部協議について知る立場のFIFA関係者は、「私たちはフィードバックに耳を傾けた。この新たなカテゴリーは正しいことだ」とし、決定は満場一致だったと話した。
当初のチケット価格体系は多くの批判を呼び、イギリスのサポーター団体「フットボール・サポーターズ・アソシエーション(FSA)」は「恥ずべきもの」だとこき下ろした。その価格体系では、例えばイングランドのファンが決勝戦までの全試合を観戦しようとすれば、5000 ポンド(約100万円)以上を支出しなければならなかった。
新たに設定された60ドルのチケットは、「サポーター・エントリー・ティア」という最安値のカテゴリー。来年のW杯出場チームの拠点のサッカー協会に割り当てられるチケットの1割を占める。
イングランドとスコットランドの場合、グループステージ(1次リーグ)で販売される「サポーター・エントリー・ティア」のチケットは約400枚になる見込みだ。
FIFAは声明で、「エントリー・ティアのチケットは、出場チームのサポーターに特別に割り当てられる。選考と発券のプロセスは、参加加盟協会(PMA)が個別に管理する」と説明。
「各PMAは独自の応募資格基準と応募プロセスを定める。これらのチケットが、自国代表チームと密接な関係を持つ忠実なファンに対して割り当てられるようにすることが求められる」とした。
また、「全体では、各PMAの割り当ての50%が、最も手頃な価格帯である『サポーター・バリュー・ティア』(40%)と『サポーター・エントリー・ティア』(10%)となる。残りの割り当て分は、『サポーター・スタンダード・ティア』と『サポーター・プレミア・ティア』に均等に分けられる」とした。
英首相は「さらに努力を」
イギリスのキア・スターマー首相は、今回のFIFAの発表を歓迎した。
しかし同時に、「かつてイングランドの試合チケットを買うために金を貯めていた一人として、FIFAには、W杯を特別なものにしている真のサポーターたちとの関係を失わないよう、チケットをより手頃な価格にするための努力をさらにしてほしい」と注文をつけた。
サポーター団体FSAのトム・グレートレックス代表は、今回の発表を「見せかけ」と批判。「後退と思われるこの対応は、ファンから金を巻き上げながら人々の関心をそらそうとするシニカルな試みだ」とした。
来年のW杯はアメリカ、カナダ、メキシコの共同開催で、6月11日~7月19日の日程で開かれる。決勝戦は米ニューヨークのメットライフ・スタジアムで行われる。
