予言通り、ヤカミヒメが八十神を拒んでオオクニヌシと結婚したいと言い出すと、八十神たちは怒り、オオクニヌシを奸計にはめて殺してしまう。だがオオクニヌシは甦り、スサノオがいる「根の堅州国(黄泉国)」へと逃げ込み、スサノオの娘スセリビメ(須勢理比売)と結婚する。
すると、スサノオは娘婿となったオオクニヌシに次々に難題を課し、さまざまな試練を与えた。しかしオオクニヌシはこれらをすべて克服し、最後はスセリビメを背負って黄泉比良坂(よもつひらさか/黄泉国と現世の境界)を越え、出雲に戻った。
その後は他の女神も娶って多くの子孫をもうけ、また海の向こうからやって来たスクナビコナ(少名毘古那神)の協力を得ながら、国土をつくっていった。〉
出雲大社の創建を予言したスサノオ
冒頭は「因幡のシロウサギ」として有名な説話だが、この説話のポイントは、大国主神が医薬の知識によって助けた兎がじつは神の化身で、大国主神の未来を予言するというところにある。
出雲大社との関わりで重要なのは、最後の方の、大国主神が、スサノオが課す数々の試練を克服した後の場面である。あらすじでは省略したが、黄泉比良坂を越えて出雲に戻ってゆく大国主神に対して、スサノオは次のような言葉を投げかけている。
「わが娘スセリヒメを正妻とし、宇迦山(うかのやま)の麓の地中の岩盤に宮殿の柱をしっかり立て、棟(むね)には高天原に届くまで千木(ちぎ)を高くて立て、そこに住め、こいつめ(そのわが女、須世理毘売を適妻(むかひめ)として、宇迦山の山本、底つ石根に宮柱ふとしり、高天原に氷椽(ひぎ)たかしりて居れ。この奴や)」
「宇迦山」は、出雲大社の北側にそびえる北山山地のこととされている。したがって、スサノオがその麓に造れと言っている荘厳な(「底つ石根に宮柱ふとしり、高天の原に氷椽たかしり」)建物とは、出雲大社のことにほかならない。要するにこのスサノオの台詞は、神話上において、将来、宇迦山の麓に大国主神を祀る神社として出雲大社が築かれることに対する予言なのである。
そして、受難をへて、大国主神はスクナビコナとともに国土を作ってゆく。これが「オオクニヌシの国作り」である。大国主神が出雲を本拠とすることから、「オオクニヌシの国作り」を「出雲国」に限定されたものと勘違いする人もいるようだが、それは誤りである。
神話の文脈からすれば、大国主神は出雲を含む地上世界全体、すなわち葦原中国(あしはらのなかつくに)の国土を作り整えていったのであり、それは要するに日本全体の国土を作り整えてゆくことでもあった。
