2026年1月12日(月)

オトナの教養 週末の一冊

2026年1月11日

大切な資産をどう育てるか

 最後に投資思考から経済への向き合い方を考える本である。インターネット証券の普及により投資が手軽にできるようになり、また少額投資非課税制度(NISA)や個人型確定拠出年金(iDeCo)など個人のお金を投資に回す制度が整ってきた昨今、これまで投資に踏み切れなかった人でも、いずれ始めてみようという人は多いかもしれない。そんな人に中立的な助言をくれるのが本書『じわじわと効く投資思考法 肩のこらない取材ウラ話』(深田武志著、日本経済新聞出版)である。

 著者は日本経済新聞の記者であるが、職業柄、 個別株への投資は禁止されており、自分では株式投資は行えない。だが、 経済記者として株式市場や企業行動を長年にわたって取材してきた経験から、成長する市場や企業とはいかなるものなのかをわかりやすく解説した。

 自分で実際に投資を行う訳ではないので、どの銘柄がオススメといったアドバイスは一切ない。 むしろ成長する企業とはどういう特徴を備えているのか、投資にあたってはどんな点に着目すればよいのかといった“勘所”を解説する。

 折しもアメリカの著名投資家ウォーレン・バフェット氏が2025年の年末をもって経営の一線から引退したというニュースが報じられたばかり。バフェット氏が「分からないものには投資をしない」というスタンスを持ち続けたことはよく知られている。 本書でもやはり同じことを指摘しており、著者はこう記す。

 プロや腕の立つ個人投資家の話を聞いたり本を読んだりしてみた結果、 分からないことを しないというのが、 一番大事な心得ではないかと考えるようになった。

 さらにこうも指摘する。

 資産形成や人生設計の観点で言うなら 個別株で億を稼ぐ高度な手法を身につけているからえらいとかいう話ではなさそうに思う。 分からない事に手を出さないで、 自分に適した手法で、 堅実に資産を守り増やす人がえらい。

 その上で毎月一定額で世界株などのインデックスを買って積み立てる投資手法があることなどを紹介する。

 このほか、経営者の力をどう見るかという点や、企業財務の見方の基礎など投資にあたっての着眼点をわかりやすく解説している。個別銘柄への投資法ではなく、経済全体をどう考えるかという枠組みや視点を示しつつ、結果として投資に役立つ経済の見方を無理なく学ぶことができる。

 新しい年が始まって、自らの才覚を生かした小さな稼ぎ方やスマホ断ちの方法、そして大切な資産を育てる方法について考えてみるのもいい機会になるだろう。2026年がみなさんにとって良い年になりますように。

Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る