2026年1月25日(日)

古希バックパッカー海外放浪記

2026年1月25日

“所轄警察署”までの長い道のり

 7月6日。朝8時にホステルをチェックアウトして最寄りの警察署に向かった。盗難届出証明書(ポリス・レポート)を発行してもらうのが先決だからだ。日曜日なので警察署の正門ゲートが閉まっていた。

 当番の警官に盗難届出証明書を発行して欲しい旨を説明するも、英語が通じず埒が明かない。警察署の入口に数人の警官が入れ代わり立ち代わり来る。それぞれが用件を尋ねるので盗難事件のあらましを何度も繰り返す。30分ほどしたら多少英語を話すベテラン警官が来て「3時間後に来い」とのこと。急ぎの案件を片付けてから警察署に戻るらしい。

 ベテラン警官が去ってから通りかかった女性警官が「どこで盗難にあったのか」と聞くので「Pホステル」と回答すると女性警官は住所を確認してから「T警察署に行け」と筆者に指示。

 PホステルはT警察署の管轄地域なので、T警察署しか“盗難届出証明書”は発行できないということらしい。テレビの刑事ドラマでも殺人事件の発生した場所の警察署が“所轄”として捜査を担当していることを思い出した。

 それから約3時間T警察署まで延々と幹線道路を上り、右往左往しながら複雑な路地を何度も曲がったところでT警察署を発見。

 喜び勇んで用件を伝えると警官はスマホアプリで「外国人の案件はツーリスト・ポリスが管轄なのでツーリスト・ポリスに行け」と門前払い。1キロくらい離れた公園にあるツーリスト・ポリスへ行ったが窓が閉まっている。英語が分かる警官が外出しているので1時間後に出直せと。午後2時前に再訪すると、担当警官が「盗難届出証明書はT警察署で作成する。パトカーで先導するから自転車でついてこい」と。

 午後3時前にT警察署に着いたが、担当警官は急ぎの別件があると消えた。3時半頃別の警官が来たが、何も引継ぎを受けておらず、最初から事件の経過を説明。事件発生日時・場所(推定)、クレジットカードが盗難か紛失か現時点では不明なること、ホステル名称、被害者の氏名、パスポート番号、クレジットカード番号を筆者から聞き取りメモした。

ツーリスト・ポリスのパトカーと警官。警察官も人の子らしく暇がある と煙草かスマホである

旅行者の盗難事件なんて“微罪”はどこの国の警察も捜査しないのか?

 担当官に犯人の特徴、自称モロッコ人なること、酒屋の所在地(レシートに記載されていた)、監視カメラがあったこと、モロッコ男はポーチからカードを盗んだなど犯罪捜査の手掛かりになるような情報を伝えたが、関心を示さず聞き流している様子だった。捜査する意図がないのだと悟った。

 ちなみにロンドンの警察署でも証明書を作成するだけで、捜査する意図は全くなかった。後でパトカーの警官に聞いたら人員削減で捜査員不足と。イタリアのシシリー島で白中盗難に遭った時に担当刑事に目撃者が沢山いるので聞き込みするよう筆者が依頼したら、聞き込みしても無駄と断言。マフィアが恐くて誰も証言しないということらしい。北京では昼間に自転車を盗まれ警察署に行ったが「警察では自転車泥棒など微罪は扱わない」と追い返された。大都市イスタンブールではクレジットカード盗難などは微罪の範疇なのだろうか。

 それから担当官は別室で書類作成して筆者が確認して署名し、警察署のスタンプを押して完了。既に4時半。この日はイスタンブールの旧市街のトプカプ宮殿の先にあるフェリー乗場からマルマラ海のヤロワという港町まで移動する計画だった。警察署を出て新市街から旧市街に渡るガラタ橋まで下り坂を一気に走ったら多少は気分が晴れてきた。

被害金額は7万3000円也~、犯人は暗証番号を知っていた!

 7月9日。古都ブルサの古い家族経営のホテルでスマホからクレジットカード使用明細をチェック。7月4日、午後自分が最後に使用した缶ビール1本の金額の後に16件の買い物とATMでの引き出し5件が掲載されていた。合計7万3000円が盗まれたのだ!!!

 ちなみに日本帰国後にカード会社に詳細記録を聞くと正に筆者が爆睡した直後の午後6時前からクレジットカードが無効になった7月5日の午後2時までの時間帯に不正利用されていた。つまり20時間の間に21回不正使用したのだ。ATMでの現金引き出しは1回当たりの限度額の上限いっぱいまで引出し、また別のATMに移動して引き出している。

 トルコではクレジットカード利用には買い物でもATMでも暗証番号入力が必須だ。おそらく酒屋の監視カメラで手に入れたか、またはモロッコ男が真後ろから盗み見したのかいずれかだ。2人に対する疑念が怒りに変わった。

どんな絶景を見ても『7万3000円』が頭をよぎり気分が鬱々。そして犯 人への怒りがムラムラと、そして自責の念がモヤモヤと

以上 次回に続く

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