2026年2月7日(土)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2026年2月7日

睡眠は毎晩、体の環境を更新する

 免疫の主力であるナチュラルキラー細胞やT細胞は、睡眠中にこそ働きが強化される。逆に睡眠不足は、炎症性サイトカインを増やし、がん細胞にとって居心地の良い土壌を作ってしまう。

 つまり、よく眠るという行為は、がん細胞にとって「住みにくい環境」を毎晩更新する作業なのである。術後の私のスマホの睡眠スコアは、87点から90点台だった。

 数字そのものより、「体がきちんと回復モードに入っている」という事実に安心した。眠れているということは、修復が進み、免疫が巡回し、自律神経が整っている証拠である。これは、薬では代替できない。

足さない健康法という選択

 ガンの再発を防ぐために、私が意識していることは意外なほど少ない。何かを積極的に「足す」より、「やめる」ことの方が多い。無理な会食を断る。大好きな酒も絶った。

 夜遅くまで情報を追わない。疲れている日は外出しない。健康に良いとされる行為を追いかけるより、体を消耗させる要因を一つずつ排除していく。

 その中心にあるのが、睡眠である。

高齢期の戦略は「消耗しないこと」

 高齢になると、「体力をつけよう」と考えがちだが、それは幻想に近い。体力は増えない。だが、消耗を減らすことはできる。無理をしない。全力を出さない。翌日に疲れを残さない。

 その積み重ねが、結果として寿命を延ばす。繊細でも、立て直しが早い体。日々リセットできる体。

 それが「再発しない体」の正体である。

 山師の世界では、「最後に残るのは、派手な勝負師ではなく、しぶとい生き残りだ」と言われる。がん治療も同じだ。強く攻めるより、静かに守る。その中心にあるのが、眠りである。

 眠れる者が、最後に勝つ。子どもの頃から続いてきたこの習慣が、高齢になった今、最大の武器になっているとは――。人生とは、実に面白いものである。

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