李氏は高市氏が、歴史的緊張を脇に置き、親睦を深める姿勢を見せたことは、米中との関わりにおいて、日本が韓国をいかに重要視しているかを示唆している。日本が韓国との関係において重視するのは、未来を志向した『安定』である。
日本は韓国を、インド太平洋から世界に至るまでの対中国戦略における重要なパートナーと捉えており、同時に、トランプ政権という大きな変革期を共に乗り切るための、不可欠な協力相手であると考えている。
韓国もまた、中国の経済的影響力やトランプ政権下の不透明な情勢に危機感を抱いており、日本との協力関係を深める戦略的動機を有している。ただし真の試練はまだ訪れていない。核心的利益が衝突した時、李大統領の外交政策が試されることになる。
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中国を「信頼できない国」と考えている
昨年6月に大統領に就任した李氏の対外政策は、国益中心の「実用外交」である。この半年、この方針に基づき活発な外交を展開し、中国、日本、米国と良好な関係を構築している。
具体的には、李氏は8月末初の外遊先として来日した後、米国に赴いた。10月末から韓国で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の機会に、李氏は高市首相、習近平国家主席、トランプ大統領とそれぞれ個別会談を行った。
本年1月、訪日前に急遽中国への国賓訪問が実施された。中国の狙いは、記事に記載されている通り、歴史を強調することによって高市政権への警戒感を高め、韓国を少しでも中国にひきつけ、日米韓3カ国の連携を弱体化することであったと思われる。ただし、高市氏に対する中国の批判に対して、李氏は中立を貫いた。
韓国は、中国を「信頼できない国」と考えていると思われる。その背景には、2016年から17年にかけて、北朝鮮の弾道ミサイルに対抗するため高高度防衛ミサイル(THAAD)設置を米軍に許可したことに対する中国の対応がある。
中国はこのシステムが中国領の深くまで到達できるとの立場から、韓国に様々な制裁措置を発動した。さらに、ここ数年、中国はスパイ活動を活発化させるとともに、黄海の暫定水域内に漁業用のブイを設置する等、黄海進出を図っており、韓国湾岸警備隊の出動回数も急増している。
