しかし、そうだとすれば、既にそのような有志国連合は存在する。それは北大西洋条約機構(NATO)と呼ばれるものだ。NATOは欧州の平和を75年にわたり維持し、中東や反テロの努力を支援してきた。おそらく、トランプ氏は、グリーンランドを巡りNATOを吹っ飛ばすよりは、NATOの維持に努めるべきだ。
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変わりつつある各国際機関
本年は、主要7カ国(G7)創設50周年で、グローバル諸国の関与の増大を含めて、創設議長国であるフランスのマクロン大統領が色々な改革を打ち出す可能性がある。その一方で、主要20カ国・地域(G20)は米国が議長国だが、昨年の南アフリカでのG20にはトランプ、モディ、習近平、プーチンは出席せず、分断激化により一時の勢いはなく、本年のマイアミG20の開催もトランプ大統領次第の面がある。
さらに、アジア太平洋経済協力会議(APEC)は中国主催で、トランプ大統領の本年2回目の訪中の機会を提供し、日中首脳会談開催の可能性も開く。また、本年は2期4年務めたグテーレス国連総長に変わる新たな国連事務総長を選出する必要があり、この人選如何が、国連の将来に大きな影響を与える。
米国は、数多くの国際機関からの脱退を表明し、実行に移している。色々な意味でグローバル・ガバナンスの曲がり角と言える年になる。この「平和協議会」は、まさにその流れに一石を投じるものであるのは間違いない。
平和評議会は、当初ガザの和平監視のための組織として想定されており、昨年11月に安保理決議でその創設が承認された際も、そのような解釈だったはずだが、実際の「憲章」には、「紛争の影響を受け、またはその脅威にさらされている地域において、安定を促進し、信頼できる合法的な統治を回復し、永続的な平和を確保することを目指す国際機関」と記されており、ガザ地区に限定する言及はない。トランプ氏は設立式典の際の記者会見で、「国連と協力する」と発言してはいるが、まさに、国連安保理の代替物を目指すような動きである。
ただ、現在の国連安保理が米露中の拒否権で激しい機能不全に陥っているのは紛れもない事実であるので、平和評議会の議論を全くの暴論として無視するのは適切ではないかもしれない。少なくとも、「安保理改革」の議論の誘因になる可能性はない訳ではない。しかし、問題も多い。
まず、その規模は、「迅速で効果的な決断」を行うものからは程遠いように見える。米国の招待を受けて平和評議会への参加を表明した国は既に26カ国。米国から招請を受けたことが確認されている国も(日中露印韓豪を含めて)26カ国ある。
