「日中友好」ではなく「軍国主義」前面に
戦後日中関係史において「日本人戦犯」に関する歴史はたびたび登場するが、共産党にとってこの歴史は二面性を持っている。
つまり、日本人戦犯問題では従来、供述書に記された日本軍国主義の残虐性よりも、毛沢東・周恩来政権が懲役20〜8年の判決を受けた45人以外に、1017人に上る日本人戦犯を起訴免除・釈放した「寛大な処理」を強く取り上げた点を前面に出してきた。また当初は、軍国主義に凝り固まったと言う45人についても遼寧省・撫順戦犯管理所で「思想改造」を行い、64年までに釈放し、彼らが帰国後、日本国内で日中友好運動を展開した点が強調されてきた。
例えば、56年11月23日に中国外交部アジア局2科が作成した報告が2006年に中国外務省档案館で公開された。それによると「(毛)主席談話精神」として「中日国交回復に対する呼び声が日増しに高まる状況を考慮し、病気を患っていたり、反省していたり、罪の軽かったりする戦犯を主導的に釈放するのはわれわれにとっても有益だ」との指示が記載されている。
それにもかかわらず、中央档案館の李明華副館長が3日の記者会見で、日本人戦犯の供述書公開は、盧溝橋事件77年に合わせた措置で、「安倍政権は対外侵略の歴史を美化している」と批判した。それは、「日本人戦犯」が持つ歴史的解釈のうち、「日中友好」より「日本軍国主義の残虐性」を前面に、安倍政権に対する圧力に使う狙いをはっきりさせたのである。
「歴史カード」を投げ続けろ
中国の報道にもこの宣伝方針がはっきり読み取れる。
7日付の環球時報は、李宗遠・中国人民抗日戦争記念館副館長の寄稿を掲載した。こう記している。
「安倍が大胆・無謀になれるのは、日本社会に次のような認識が存在するからである。第1に、日本が発動した侵略戦争の罪に関して非常に多くの戦後生まれの人たちが、自分たちと無関係だと認識していること。第2に、当時の日本は中国との長期抗戦が敗戦の原因ではなく、米国に負けたと認識していること。第3に今日の経済規模が中国に追い抜かれたことに不満を持っていること。こうした考えは現在の日本社会において非常に深くて厚い基礎を有しており、侵略戦争を否定・わい曲・美化する安倍のために広大な土壌を提供している。歴史と現実を無視したこうした観点には極めて大きい危険性が存在しており、歴史認識問題においてわれわれは『歴史カード』を投げ続けなければならない。タイミングよく投げ、毎日のように投げ、毎年投げる必要がある。『歴史カード』を投げ、日本が徹底して侵略戦争の罪を認め、真摯にお詫びするまで。さもなければ中日関係が正しい軌道に沿って発展を続けることはできない」