2026年3月10日(火)

勝負の分かれ目

2026年3月10日

変わることのない内面

 震災から15年が経過した。

 「正直、大きく変わったなということは自分の中ではないです。15年、5の倍数は人間にとって節目を感じやすい数字ではあって、この期間に復興が進んだところ、コミュニティが復活しているところもあると思います。ただ、そのまま取り残されている地区もあり、復興してきたといっても、中をのぞいてみたらまだまだ復興できていないというか。(被災地が)元に戻るわけではないので、だからこそ、ずっとずっと応援し続けたいな、という気持ちと、自分自身も被災した傷、トラウマみたいなものもやっぱりずっとずっと抱え続けていくべきなんだなと、理解をして付き合えるようになったかなと思っています」

 羽生さんにとっての15年は五輪を2連覇し、プロスケーターとしての影響力は世界に届けることができるようになった激動の時間のようにみえる。しかし、羽生さんが節目の15年をとらえたのは、外形的な変化ではなく、変わることのない内面的なものだった。

 あの日に受けた傷は消えることなく、いまなお羽生さんの内にとどまっている。復興というワードでごまかせない、決して元に戻ることがない東北に思いをはせている。

羽生さんは震災を伝え続ける(ⓒnottestellata2026)

 オーケストラには、震災後に生まれた若いメンバーもいるという。

 「実際に今回、コラボレーションさせていただいた東北ユースオーケストラの方の中でも、震災後に生まれたよ、という方もいらっしゃいました。震災当時、幼くて記憶がないよ、っていう子もきっといらっしゃるでしょう。そういった子たちが、坂本龍一さんが募ったおかげで復興であったり、震災のことだったりを考えて過ごしていると思うんですよね。

 それと同じで、僕も当時16歳でしたが、インタビューをしていただいたり、記事を書いていただいたりする中で、僕も伝えるべき立場として頑張っていかなければいけないというか、若いながらに使命を帯びたような気がしました」

 羽生さんは被災地でのアイスショーを4年続け、多額の寄付も続けている。

 「当時を知っている人間だからこそ」の強い思いが伝わる。

 変わりゆく流れの中で、「羽生結弦」という不変の輝きが、これからも被災地を優しい温もりとともに照らしていく。

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