充実した設備があっても
避けられない少子化の影響
同校の実習室には、実際の造船工場さながらの設備が並ぶ。ひときわ目を惹く天井に設置された2基のクレーンはそれぞれ2.8トン吊り上げることができる。それにより、一般的な工業高校の溶接が2枚の板をつなげることに留まる一方、立体的な構造物を造ることが可能になる。
「造船の工法は小さな部品(ブロック)ごとに分けて造ったものを、最後にすべてをつなげて一つの大きな船体にするので、ブロックの段階で精巧につくり上げることが求められます。部品も一つひとつ違うので、造船の溶接はどうしても機械化できない部分が残ります。大変な作業ではありますが、ハマればとてもおもしろいですよ」
毎年開催されている全国の高校生が溶接技術を競う「溶接甲子園」では昨年、一昨年と同校の生徒が最優秀賞に輝いた。
「それでも、少子化の影響で生徒数の減少は避けて通れません。今年は定員40人のところ志願者数は37人です。魅力がもっと伝われば、まだまだポテンシャルはあるはずだと思っています」
国を挙げて建造量倍増を掲げるが、実際にそれを担うのは現場の技術者たちだ。「造船業の技術者になりたい」と一人でも多くの生徒・学生が自発的に思えるようにするには、造船業界の魅力をいかに高められるかがカギを握る──。
それはまさに、〝大人〟の力にかかっているのではないか。

