2026年4月23日(木)

造船立国ニッポンへ

2026年4月23日

充実した設備があっても
避けられない少子化の影響

 同校の実習室には、実際の造船工場さながらの設備が並ぶ。ひときわ目を惹く天井に設置された2基のクレーンはそれぞれ2.8トン吊り上げることができる。それにより、一般的な工業高校の溶接が2枚の板をつなげることに留まる一方、立体的な構造物を造ることが可能になる。

 「造船の工法は小さな部品(ブロック)ごとに分けて造ったものを、最後にすべてをつなげて一つの大きな船体にするので、ブロックの段階で精巧につくり上げることが求められます。部品も一つひとつ違うので、造船の溶接はどうしても機械化できない部分が残ります。大変な作業ではありますが、ハマればとてもおもしろいですよ」

実習室のクレーンの前に立つ藤原清人先生自身も楽しそうなのが印象に残った(WEDGE)

 毎年開催されている全国の高校生が溶接技術を競う「溶接甲子園」では昨年、一昨年と同校の生徒が最優秀賞に輝いた。

 「それでも、少子化の影響で生徒数の減少は避けて通れません。今年は定員40人のところ志願者数は37人です。魅力がもっと伝われば、まだまだポテンシャルはあるはずだと思っています」

 国を挙げて建造量倍増を掲げるが、実際にそれを担うのは現場の技術者たちだ。「造船業の技術者になりたい」と一人でも多くの生徒・学生が自発的に思えるようにするには、造船業界の魅力をいかに高められるかがカギを握る──。

 それはまさに、〝大人〟の力にかかっているのではないか。

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Wedge 2026年5月号より
造船立国ニッポンへ 「復活の号砲」を鳴らせ
造船立国ニッポンへ 「復活の号砲」を鳴らせ

かつて日本は世界一の建造量を誇ったが、現在、韓国、中国に大きく後れをとっている。 日本政府はここに来て、造船のテコ入れ開始を決めたが、その道のりは険しい。 島国である日本にとって、「海上輸送」がなければ企業活動も、生活も成り立たない。 日本の造船業が抱える課題や造船大国へと変貌した中国の実態と対抗策を示すと共に、 造船業は国家の「生命線」であることを改めて問い直す。


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