2026年4月28日(火)

教養としての中東情勢

2026年4月28日

 大統領は今回、停戦期限を設けなかったのも、打つ手のない表れとみられている。イランがホルムズ海峡を通過しようとして船舶2隻を拿捕したことについても「米国船ではない」として問題視しない考えを示し、イラン側の譲歩に秋波を送った。

目指すは大枠の覚書

 一方でトランプ大統領は米海軍がホルムズ海峡で機雷の除去作業を実施中だとし、機雷を敷設するイラン船舶を撃沈するよう命じた。米紙によると、イラン側は3月、約20個の機雷を敷設したが、米メディアはイランが新たに機雷を敷設していると報じていた。

 イラン側はこの機雷の掃討作戦にも反発、米国の海峡の「逆封鎖」を停戦違反として非難しているが、そもそも双方が目論む合意とはいかなるものなのか。情報を総合すると、4月11日の第1回の和平協議では、米国は戦闘終結に向けた「大枠を定める覚書」の署名を目指した。

 主な論点はホルムズ海峡の開放、イランのウラン濃縮活動の停止、対イラン制裁緩和――の3点だ。この覚書を土台に約2カ月で合意を結ぶという「2段階」のシナリオだった。しかし、イラン側はあくまでもホルムズ海峡の支配権、ウラン濃縮活動の権利などを要求、米国との折り合いが付かなかった。

 トランプ大統領は「イランは合意を求めている。ほぼ合意に達している」などと楽観的な発言を繰り返し、2回目の協議のためヴァンス副大統領ら代表団を協議の地、イスラマバードへ送り込もうとしたが、主張が対立し見送った。大統領が急ぐ理由は「戦争権限法」上の問題もある。

 戦争権限法では大統領が議会の承認なしに60日を超えて戦争を続けてはならないと定めている。大統領がイラン攻撃を議会に通告したのが3月2日なので、5月1日がその期限となる。共和党の一部もこの日が転換点となるとしており、大統領は原則、「戦争を縮小する」か「議会の承認を得て戦争を継続する」かの選択を迫られることになる。

ホルムズという“核兵器”

 イランが米国との協議でかたくななのは革命防衛隊を中心とする強硬派が権力を掌握したことにあるようだ。トランプ大統領もイラン指導部の「分裂」を指摘しているが、開戦した後、革命防衛隊勢力がペゼシュキアン大統領、アラグチ外相ら文民派との権力闘争に勝ち、権力を掌握した。事実上のクーデターだ。

 ニューヨーク・タイムズなどによると、2月28日の開戦時の攻撃で最高指導者のハメネイ師が殺害され、後継者に任じられたモジタバ師も重傷を負った。片足を3回手術し、義足ができるのを待っている。腕も1回手術、顔と唇を大やけどし、意識はしっかりしているが、話すのは難しい状態という。


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