3月は、大学受験の話でもちきりである。東京大学を筆頭に有名大学の高校別合格者数ランキングが発表される。インターネットは人生の偉業を礼賛し、勝者たちの輝かしい栄光に祝意を表している。
しかし、有名大学合格は、果たして、人生の勝利を意味するのだろうか。学歴は、将来の隆盛を約束するのであろうか。
答は「NO」とは言えないかもしれないが、少なくとも「Yes」ではない。その理由は、学歴は「短期資産」に過ぎず、複利効果はないからである。
「合格」の価値は入社後数年まで
学歴は、就職先をある程度約束してくれる。一流大学の学生の方が、就活市場で優位に立てる。この点は、経済学者のマイケル・スペンスが「シグナル」という語で指摘している。
有名大学卒業の経歴は、その人の知能が高く、努力を継続でき、自身に規律を課せることを、いわば「青信号」で示している。学校教育は入社後の生産性とは関係ないが、それでも資質に関する品質保証は信頼に値する。
「この人には、一定以上の生産性を期待できる」と判断する。有名大学卒の肩書は、キャリアのスタートラインにおいて、有利に働く。
しかし、この青信号効果は入社とともに逓減する。すでにインターンシップ段階から、学歴以外のポイントが判断されている。入社以降は、いよいよ実績、評価、人望が審査される。
偏差値などの予備校的価値は、もはや考慮されない。どの部署で何を学び、何を達成したか、どのような専門知識を身に着けたか、顧客やクライエントとの間でどう人脈を築いたか、どのような修羅場を経験したかなどが、内外の情報をもとに、判断される。社内で「〇〇大学卒の〇〇さん」と呼ばれるのは入社直後だけである。
研修期間を終えて、特定部署に配属されたころには、すでに「〇〇課の〇〇さん」と呼ばれるようになる。4、5年もすれば、その人がどこの大学を出たかなど、誰も話題にしなくなる。
