職場で仕事をするとはどういうことなのか、あらためて働く人一人ひとりがしっかり自覚するよう迫る本である。
筆者は昭和生まれで平成の初めに社会人になった者であり、職場はある意味「絶対服従の場」であった。上司から「〇〇をやっておいて」と言われた仕事は、内心気の進まないものであっても「はい、わかりました」と二つ返事で受けて必死にやり、体調が悪いなどよほどのことが無い限り「できません」などとは決して言えなかった。実際、自分の周囲にもそんな同僚はいなかったように記憶する。
その後、時が経つ中で少しずつ状況が変わってきたような印象があった。自分が指示を出す側になって何となくわかってきたのだが、何か仕事を依頼しても「えー……」とやりがたらない反応を示す人が増えてきたように感じたのだ。だがその時は「仕事だからやって!」とまだ自然に押し切ることができた。
そして今、指示を出すやいなや「できません」と言われる上司が多くなっているという。仕事の分野がまったく違っていたり、類似していてもほとんど知見がなさそうだったりする人には、そもそも最初から仕事を頼まない。そうでなく、できると判断した人間に頼んでいるにもかかわらず、指示するそばから「できません」などと言われたら、頼んだ側の上司が困惑することは想像に難くない。本書ではそうした例が多く紹介されている。
