佐藤和人が継いだという稼業もわからず、また涼子がSNSで探しても居所はわからなかった。ルナの提案は、図書館に行って電話帳から佐藤の名前で経営している、さまざまな店を当たっていくという手法だった。
ルナはなぜ涼子とともに旅をするのか?本ドラマの伏線となる大きな謎である。涼子が旅館で眠る姿を涼子は写真とともに、何者かに送信している。
謎解きに使われる文学の名作
第3話(4月22日)に至って、ルナは大阪浪速区の宝石店経営者の殺人事件の謎を解いていく。ドラマは毎回、名作が謎解きのカギとなる。今回は林芙美子の『めし』と江戸川乱歩の『黒蜥蜴』である。
両作とも、通天閣がみえるこの場所が舞台になっている。『黒蜥蜴』の主人公・明智小五郎と黒蜥蜴が宝石を手渡すのが、通天閣である。
宝石店の経営者・佐藤宗久(中野剛)が殺される。彼は、経営が悪化していることから店を閉めることを考えていた。その妻・眞規子(東風万智子)や職人の辰雄(山口馬木也)、先代社長の息子である信一(岩瀬洋志)、そして宝石卸商の竹野(長谷川純)らにアリバイがあった。
妻の眞規子と信一は宝石店の向かい側の2階のカフェにいた。ただ、辰雄のカバンから高価な宝石と現金が出てくる。犯人は辰雄なのか。
ルナと通天閣の周辺を散策していた、涼子がルナのいう『黒蜥蜴』とは異なる同名の小説を読んだことがある、といった。それは、青少年向けに書き換えた作品だった。
カフェで眞規子が不可解な行動をとったことを信一が証言する。緑のショールを羽織っていた彼女が、殺人事件が起きて店にかけつけた時には、赤のショールになっていたことをルナは気付く。
それは、殺人を犯した宝石卸商の竹野に対する合図だった。緑は、店に入って夫の宗介を殺しても安全であると。赤は人が店に迫って危険である。
事件は解決したかにみえたが、ルナは涼子のもうひとつの『黒蜥蜴』を思い出す。
「もうひとつのシナリオがある」と。
「つながりました!」――ルナの謎解きが決まった時の決め台詞である。毎回のお約束になっている。
職人の辰雄に迫る。本当の犯人は彼だと。経営者の佐藤夫婦が殺人事件にからめば、遺産相続は適用外となって、我が子のようにかわいがっていた信一が遺産を相続して、店も存続できると。
ドラマは『曽根崎心中』や『春琴抄』、『失楽園』など、読書家にはお馴染みの作品が謎解きに使われている。
原作は、秋吉理香子著の『月夜行路』『月夜行路Returns』。古書を舞台回しにする『ビブリア古書堂の事件手帖』(三上延)とは趣を異にする。文学作品とサスペンスが合体した本ドラマはゴールデンウィークの夜に気軽に楽しめること十分である。
『銀河の一票』(関西テレビ制作・フジテレビ系列、月曜よる10時)
今や女優のトップクラスといえる、黒木華が演じる星野茉莉(ほしの・まつり)は、民政党幹事長の父・鷹臣(たかおみ、坂東彌十郎)の秘書を務めていた。事務所では「お嬢」と呼ばれる存在である。いずれ、東京都知事になる夢を持っていた。
ところが、実母の瑠璃(るり、本上まなみ)が亡くなった入院先である、楢ノ木医科大学病院の疑惑を明らかにしようと考えていた。そして、父・鷹臣の代理で出席した会合で出席者の車に乗せられて、セクハラまがいの行為に及ばれて車を降りた。
その際、実母から幼い日にもらった、フックのついた小さな豆電球をなくしたことに気づく。実母の瑠璃(本上なおみ)は、「迷ったら、明るいほうに行きなさい」と、茉莉に繰り返し諭していたのだった。
そして小さな豆電球は、茉莉のお守りになった。電球の電池はすでに切れていた。
