茉莉が探し物をしているそばを通りかかって、一緒に豆電球を探してくれたのが近所でスナック(あかり)を営む、月岡あかり(野呂佳代)だった。
その夜、茉莉(黒木)は父・鷹臣から秘書のクビを言い渡された。退職金も押し付けられて。
「二度と、政治の世界に足を踏み込むな!」と、一喝された。
旅行トランクに身の回りのモノを詰め込んだだけで、茉莉は夜の街をさ迷うように歩いた。すると、月岡に呼ばれ、スナック「あかり」に入った。
月岡は、茉莉が探すのを諦めて去っていった後、豆電球を探し当てた。自分の店に入ってきた茉莉にそれを差し出した。
月岡は茉莉に尋ねる。「どこに行こうとしているの」と。とっさに、茉莉はカウンターに出されていた酒の銘柄のシールを呼んでいう。「銀河」と。
脇役らの演技にも注目
ネットの映像サービスやスマートテレビの普及によって、地上波のドラマは第1回目、つまり“つかみ”が重要である。本ドラマの走り出しは、十分である。
店を飛び出した茉莉は、ビルの非常階段を上っていく。追いかけた月岡は、自殺するのではないかと、必死だった。
「どうするつもりだったの?」と、尋ねる月岡に茉莉は「銀河がみたくて」と答える。
「どうしてわたしがここにいるってわかったんですか?」と、逆に茉莉が尋ねると「あならの豆電球が明るく昇っていくようにみえたからよ」。電池が切れた豆電球は光っていたのである。
「あかりさん、東京都知事選挙に立候補しませんか。わたしは、民生党のスキャンダルをどんどん出していきます。都知事になったら、わたしを副知事に指名してください。ふたりで社会を変えましょう」と。
茉莉の父・鷹臣(坂東彌十郎)の政策秘書に、先の『月夜行路』第3話では殺人犯を演じた、山口馬木也。
本ドラマの茉莉の父・民政党幹事長役の坂東彌十郎と、山口馬木也は今や映画やドラマの脇役になくてはならない存在である。
大ヒット映画『侍タイムスリッパ―』(安田淳一監督、2014年)の中で、タイムスリップして、現代の時代劇に出演する役を演じた、山口馬木也。坂東彌十郎は、連続テレビ小説『風、薫る』では、主人公の一ノ瀬りん(いちのせ・りん、見上愛)を親身になって世話をする、謎の西洋雑貨商を演じている。『クロサギ』(2022年版、TBS)の適役の演技も忘れがたい。
『リボーン~最後のヒーロー』(テレビ朝日、火曜よる9時)
辣腕経営が過去にタイムスリップするだけではなく、経営者が一転してさびれかけた商店街のクリーニング屋の息子に転生する、という奇抜な発想のドラマである。
第77回ヴェネチア国際映画祭・最高賞の銀獅子賞を受賞した『スパイの妻』(黒沢清監督、2020年)の主役を務めた高橋一生主演。国際的な俳優となった高橋は、ドラマと映画『岸辺露伴は動かない』シリーズなどでも演技力を発揮して、いまや日本を代表する俳優のひとりであることに異論はないだろう。
「NEOXIS」の創業者として、銀行なども傘下に収める若手経営者・根尾光誠(ねお・こうせい)が高橋の役柄である。日課としている神社の参詣の際に、階段からなにものかによって突き落とされる。病院のベッドで目を覚ますと、時代はさかのぼって2012年。街角には、AKBの歌声が流れている。
そして、根尾は「あかり商店街」のクリーニング屋の店主・野本英治(のもと・えいじ、小日向文世)の長男・英人(えいと)になっていた。
この「あかり商店街」こそ、「NEOXIS」社長時代に強引な再開発計画を仕掛けた地域だった。その時に、計画に反対する先頭にたっていたのが、今では父となっている英治(小日向)だった。
