Wedge REPORT

2014年8月1日

»著者プロフィール

ゴープロのほんとうの衝撃

 ゴープロのような新しい価値を提供しようと起業された会社は、アメリカではベンチャーではなくスタートアップと呼ばれる。スタートアップは、フェイスブックのようにナスダックへの上場を果たすか、写真共有サービスのインスタグラムのように他社に買収されて、創業者が莫大なお金を手にすることを目標としている。これまでその目標を達成したスタートアップのほとんどは、インターネットを利用したサービス業であった。しかし最近ではゴープロや、先日アップル社に買収されたビーツ(Beats)という音楽配信サービスも手がけるヘッドホンメーカーなどのようなモノづくりのスタートアップも数多く出現している。

 『フリー』などのベストセラーを書いたWired誌の元編集長クリス・アンダーソンは『メイカーズ』で20世紀のモノづくりモデルの規模の最大化は、21世紀においては欠点となると言っている。もはやモノのアイデアを形にするために大きな工場を作ったり多額の資金を集めたり大勢の人を雇い入れたりする必要はない。3Dプリンタなどでモックアップを作り、インターネットのコミュニティで仲間や資金を集め、小ロットでも受託してくれる工場に生産をアウトソーシングするという新しい製造業の形ができつつある。

 特にアメリカのシリコンバレー周辺地域には、これらのスタートアップが生まれる環境がある。多くの投資家が注目し、スタートアップを支援するしくみができ上がっている。自分のビジネスを売却することによって得た資金を、別のスタートアップに投資するという循環も生まれ、失敗した起業家にも次のチャンスが与えられる。そこに起業を目指すアイデアマンやエンジニアが世界中から集まり、新しい価値を創造しようというパワーに溢れている。それが日本のモノづくりのトップブランドを脅かすようになった。

 日本のモノづくりがジレンマを感じている余裕はない。持っている技術やリソースを「焦げ付き資産」にしてしまうのではなく、その強みを最大限に生かすための挑戦をはじめる時だ。

【関連記事】
・ソニーから飛び出した「生体認証技術」で世界に挑む
・スマホに取り付け自由自在 「久々にソニーらしい」レンズカメラ
・鳴かず飛ばずだったSONYウォークマンをヒットさせた丸井の若手バイヤー
 

■編集部より:3ページ3段落目「日本のデジタルカメラなどのOEM生産で知られる台湾のフォックスコンに生産を委託していた。」は、正しくは「台湾のメーカーに生産を委託していたという。」でした。お詫びして訂正致します。該当箇所は修正済みです。(2014/09/24 10:06)

本誌8月号第二特集「ハードウェアベンチャーが日本のメーカーに問いかけるもの」では、本記事の他に、大企業を辞めた若手エンジニアたちが産み出した車椅子「WHILL」についての記事が読めます。

◆Wedge2014年8月号より









 

「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。

関連記事

新着記事

»もっと見る