2024年11月21日(木)

ヒットメーカーの舞台裏

2014年6月10日

 ふとん乾燥機の構造の常識を覆した渾身の作だ。温風を蓄えてふとんを乾燥させる袋状の「マット」、本体からマットに温風を送り込む「ホース」という在来品には不可欠だった2部品がない。その分コンパクトになり、収納も手早くできる。テレビ通販を経て2013年9月に家電量販店などでの販売を開始した。実勢価格は1万5000円前後と、1万円未満が主流の在来品に比べると高いが、計画の約2倍の売れ行きとなり、入荷待ちの店が相次いでいる。

 操作パネルなどがある本体と温風の吹き出し部が一体化されており、吹き出し部は本体に対して約180度の角度内で無段階にセットできる。ふとんの乾燥やダニ対策といった本来の機能だけでなく、吹き出し部の角度を使い分けると、少量の洗濯ものやシューズ類の乾燥にも使える。収納の際に折りたたむと幅28センチ、長さ35センチ、厚みは13センチと小ぶりの枕ほどになる。しかも、吹き出し部をワンタッチで折りたたむだけなので、在来品でユーザーが手を焼いていた収納の手間を大きく改善した。人気獲得の秘訣は、そこにある。

「買って使わない家電」2位へ再度挑戦

 象印は、炊飯器に代表される調理家電と魔法瓶に強いが、空気清浄機といった生活家電部門のウエイトは低い。そのテコ入れ策のひとつとして、国内で年40万台規模の安定需要があるふとん乾燥機に着目した。実は象印も1990年代の初めから98年まで市場参入していたので、再参入だ。いわば出戻りの後発ということで失敗は許されず、10年の初めに発足した開発チームにはこの製品の部門長から「他社製品を凌駕する目玉を」と強い要請があった。

象印マホービンのふとん乾燥機「スマートドライ」

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