2026年5月13日(水)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2026年5月13日

トランプという「冷徹なリアリスト」の計算

 日米安全保障の観点から共同開発を推進すべきという論点があるが、そこには「トランプ」という巨大な変数を無視できない。徹底したビジネスマンであるトランプ氏が、採算の合わない深海開発に金を出すはずがないのだ。

 彼は、日本が血税を投じて掘り出した資源を「優先供給しろ」と要求し、あるいはその権益を外交のディール(取引)の材料に使ってくるだろう。資源を「売るモノ」としてだけでなく、相手に「握らせない武器」として捉える冷徹なリアリズムが、今の日本の政治家には決定的に欠けている。

満鉄の教訓:独占の誘惑が招く地政学的孤立

 歴史を振り返れば、日本はかつて満州鉄道の利権を独占しようとして、米国のハリマンによる共同経営案を蹴った過去がある。その結果、米国との決定的な対立を招き、孤立無援の戦争へと突き進んだ。南鳥島も同じだ。「日本だけの資源大国」を夢見て独占を謳えば周辺国の反発を招き、かといって中身のない数字で米国に丸投げするのも愚策である。

 私たちが学ぶべきは、「強かでしなやかな知恵」である。

「刀(資源)は見せるが、安易に抜かない」

「技術は独占するが、権益は賢く分かち合う」

 このバランスこそが、資源を「争いの火種」ではなく、国を守る「守護神」に変える唯一の道である。

掘るな、磨け、そして世界を握れ

 資源とは、掘り出した鉱石の量で勝敗が決まるのではない。その存在によってどれだけ味方を増やし、どれだけ敵を思いとどまらせたかで決まるのだ。南鳥島レアアースの本質は、「今すぐ掘るべき資源」ではなく、最強の外交カードとして「握っておくべき戦略資源」である。

 長い連休が明け、日常に戻った今こそ、浮き足立つ「資源大国論」の裏にある無責任を見抜く眼力を、日本国民には持ってほしい。嘘のつけない、泥まみれの現場を50年歩き続けてきた私は、これからもこの国の「正論」を叫び続けたいと思っている。

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