「AIが食い尽くす銅、日本に残された最後の鉱山」
そこでNTTである。NTTは通信会社だ。しかし別の見方をすれば、日本最大級の都市鉱山を持つ会社である。全国に張り巡らされた通信ケーブル。
交換局、通信設備、データセンター、サーバー群。そこには膨大な銅が眠っている。ただし、ここで楽観してはいけない。都市鉱山があるから日本は大丈夫、などという話ではない。現時点では全く足りない。
中国もリサイクルに本気を出している。都市鉱山ですら争奪戦になる。だからこそ、NTTと三菱マテリアルの提携は重要なのである。単なる廃材回収ではなく、誰が、どこから、どの品質の銅を、どのように回収し、再び産業に戻すか。
そこまで設計しなければならない。
日本が握るべきチョークポイント
日本が生き残る道は、物量勝負ではない。中国と同じ土俵で戦えば負ける。日本が握るべきは工程である。
高純度銅、高信頼性素材、半導体、AI、電力インフラ向けの品質保証。そしてトレーサビリティである。この銅はどこから来たのか、どれだけCO₂を減らしたのか、どの設備に使われ、どのように回収されたのか。
その情報を付けて再び市場に戻す。単なる再生銅ではない。「データ付きの高純度銅」である。私はここに日本の勝ち筋があると思う。
都市鉱山だけでは足りない、だからこそ戦略が必要だ
日本は鉱山を持たない。都市鉱山だけでも足りない。中国との物量差は絶望的に大きい。だからこそ、何を捨て、何を握るかを明確にしなければならない。日本が握るべきは、鉱山そのものではない。
高純度化の工程、循環の設計、資源データの管理、そして信頼できる素材供給網である。
NTTと三菱マテリアルの新会社は、その第一歩に過ぎない。だが、この一歩を軽く見てはならない。通信会社が資源会社になる。製錬会社がデータ会社と組む。都市鉱山が国家戦略になる。これは日本が追い込まれたからこそ生まれた、新しい資源戦略なのである。
