2026年8月19日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年8月19日

 対イラン攻撃は北半球での温暖化の明白な兆候と時期を同じくしている。欧州は6月の記録的猛暑で、今になりエアコン未設置を後悔している。地球温暖化はエリートの執着から大衆の問題に変貌した。米国は20世紀の行動様式で温暖化を助長する一方、中国はグローバルサウスから解決者とみられている。

 信頼はすぐに失われるが、取り戻すには時間がかかる。米国支持が高い6カ国の内 4カ国は、中国の隣国である日本、韓国、インドとフィリピンだ。

 米国に不信を抱くのは全世界だ。例外は、ロシアの脅威に晒されるポーランド、そしてイスラエルである。豪州と英国さえ、中国をより信頼している。

 米中競争の焦点はAIだが、中国モデルは能力的に劣るが、安価で公開ソース、米国モデルは高価で秘匿ソースだ。史上初めて、米国の技術が世界を睥睨(へいげい)できるか不明になった。米国は尊敬でさえ当てにできない。

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なぜ、信頼が下がっているのか

 ルースらしい良く整理された論説だ。

 一番深刻だと思うのは、「問題は価値ではない」という指摘だ。要するに、民主主義が、体制の問題として全体主義より優れている訳ではないという指摘だ。

 人間の3つの根本的な欲求は、自由・安全・繁栄だが、民主主義は自由を最優先し、その結果、安全と繁栄も確保されると考える体制だが、全体主義は、自由を諦めれば、安全と繁栄は国家が一定程度面倒を見るという体制だ。引き続き人間の一番根源的欲求は自由だと思われるので、民主主義の方が優れていると信じるが、その結果として確保されるはずだった安全は劣化し、貧富の格差が拡大しては、繁栄も覚束ない民主主義は相当厳しい。今後、米国と中国のどちらが貧富の格差の問題をより適切に処理できるかが、両体制の勝敗を左右することになろう。

 第二は、現在トランプがやっている「酷いこと」、例えば主権国家ベネズエラやイランへの武力侵攻、関税の一方的引き揚げなどは、第二次世界大戦前まで遡れば、米国は常にやってきたことである。それでは、なぜ今のトランプの場合は問題かと言えば、まず「予測可能性の無さ」であり、より本質的には、「良いことをやるのを止めた」からだろう。

 ピューの調査が言う「信頼性の低下=予測可能性の無さ」は、大統領の言うことがころころ変わることからも明らかだ。「ルールに基づく秩序」や「法の支配」が重要なのは、ルールや法自体の正統性由ではなく、その枠内での行動の「予測可能性」の存在由ではないか。


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