ソ連時代に戻るのは「悲しい」
このあたりから、偽首相のツイートは長くなっていく。
14日は、プーチン大統領がクリミア半島の保養地ヤルタにメドベージェフ首相を含めた政府要人を集め、国政問題に関する演説を行う日だった。ロシアのメディアでは半島の編入を国内外にアピールする狙いからか、数日前からこのイベントについて報道し、注目していた。
「今日のヤルタのことを重要だと思っている? 私は疑うね。いまここに座っているけど、僕自身はそう思っている。なんで?」
このメッセ-ジにはロシア語で卑猥な言葉が用いられている。
「この国の上層部には良識を認識することに問題があるのだが、ロシア人はその問題に苦しむ必要はない」
「われわれは80年代に戻ることができる。悲しいことだ。もし、クレムリンの私の同僚の目的がそうならすぐに達成されるだろう」
いずれのメッセージも、ソ連時代の雰囲気を知っている者のような口ぶり。クレムリンの同僚とはもちろんプーチン大統領のこと。クリミア併合で欧米との対立が深まって、プーチン政権は先祖返りしたような言動を繰り返している。インターネットや欧米の文化に慣れ親しんだ40代のメドベージェフ首相にとって、ソ連時代に時間の針が逆戻りすることは「悲しい」のだという。実は、このメッセージは彼の心の中を言い当てているような気がする。
「年金については浪費している。ベリャコフだけ1人反対意見を述べた。残りの者たちは言うのを恐れている」
年金は、ロシアで大きな問題となっている。ロシア政府は年金基金を積み上げているのだが、財政難のおり、基金については年金以外に活用する方法が模索されている。ベリャコフ氏とは経済発展省の副大臣で、最近、政府の姿勢をFacebook上で批判して、メドベージェフ首相が解任したばかりだった。