染色体の異常も被爆を裏付けた。水爆実験のさなかに操業していた元漁船員18人の染色体を検査した結果、14人で異常値が高かった。染色体は、放射線によって断ち切られたあと、復元する過程で、他の染色体と合体したりする異常が現れるのである。
太平洋のモニタリング・ポストと漁船の航路記録は、98隻の漁船が被爆した可能性があることを示していた。
ヒロシマの科学者たちが解明した事実が、当時明らかになっていれば漁船員たちの健康が損なわれる可能性は低くなったと思われる。202人の漁船員の追跡調査によると、ガン死亡が多く、水爆実験から34年後に約30%が亡くなっている。白血病の患者も多い。1万3000人に1人の発症率に対して、3人も患者がいた。
第五福竜丸のかげに隠れていた、真実の記録の出版を期待したい。
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