喜びを分かち合う
「三喜」に生きる シャトレーゼ創業者一代記 森 忠彦 毎日新聞出版 1870円(税込)
「シャトレーゼ」。あまりにも身近だったので、どこが発祥のお店なのか気にしたこともなかったが、本書で初めて山梨県だと知った。それどころか、国内895店舗、海外にも162店舗も展開していると知って驚かされた。しかも、製菓だけではなく、ゴルフ場やホテルまで経営しているという。「三喜」というのは、お客、取引先、社員の三者に喜ばれるという意味で社是にもなっている。シャトレーゼは、2024年に亡くなった齊藤寛氏が創業して、一代でここまでの企業に成長させた。ここまでの大企業に成長しているが、上場はしていない。改めて「経営」とは何かを考えさせられる一冊だ。
プーチンの意図
プーチンの歴史認識 隠された意図を読み解く 上月豊久 新潮選書 1815円(税込)
20年以上にわたってロシアの政権を担ってきたプーチン大統領。世界に大きな影響を及ぼし、日本の隣国でもあるロシアを率いる人物を、私たちはどこまで理解しているだろうか。駐ロシア大使を務め、プーチン氏と直接対面した経験も持つ筆者がその人物像を丁寧に解説する。政治手法の根底にあるのは、歴史認識だ。ロシア史を研究し、論文まで発表するプーチン氏。彼の歴史認識を知ることは、政治的意図を読み解くためには欠かせない。
戦争犯罪を裁く歴史
権力者を訴追する 戦争犯罪と国際法廷の闘い スティーヴ・クロウショー(著)、 三浦元博(訳) 白水社 3960円(税込)
国際刑事裁判所(ICC)の所長・赤根智子氏に対し、米国から制裁が続いている。本書はこのICCの役目である戦争犯罪を裁く国際司法について、その歴史と過程を描いている。国際刑事法廷を創設する考えは1872年から存在したが、ICCの設置は2002年まで待つことになる。23年、ロシアのプーチン大統領に逮捕状が出された場面は、先人たちの苦労が報われたように思え、著者の驚きが生々しく感じられた。逆風にさらされるICCについて学ぶことができる一冊。
