2024年11月23日(土)

都会に根を張る一店舗主義

2014年11月7日

 「その時代には、ジェラート屋はとにかく巡りました。最後は、ローマの若いけれど腕のいいシェフがいた『アッローロ』という店で働き、店がミシュランの星を獲得したのを区切りに辞めました」。また、この三度目の滞在では、イタリアのジェラート・コンテストにも参加してみた。例えば、ヴェネト地方のロンガローネのコンテストでは、プロセッコという発泡系のワインを使ったシャーベットで、若手職人部門の2位を獲得。また別のコンテストでも、クルミのジェラートで4位となった。

 この会場で、大物のオーガナイザーとの出会いもあり、以後、リミニのジェラートワールドカップに日本チームを組織して参加している。また2011年、帰国後はカルピジャーニ社よりオファーを受けて日本で講師を続けている。

 こうしてようやく、2012年5月、祐天寺駅前に『ジェラテリア・アクオリーナ』が誕生した。

ジェラートの起源は?

 ジェラート発祥の地はイタリアだと言われるけれど、これにも諸説あって正確なことははっきりしない。西洋で最初にそれらしき食べものが記述されたのは、旧約聖書だそうで、そこにはイサクが、アブラハムに山羊のミルクに雪を混ぜて食べさせたとある。時代がくだり、古代ローマでもアルプス山脈やアペニン山脈の雪や氷を運ばせ、ミルクやハチミツを加えたデザートが登場する。だが、これが現在のジェラートにぐっと近づくのは、1500年代、フィレンツェで、まずは、建築家で食通のベルナルド・ボンタレンティがミルクに初めて生クリームと卵を加えたものを創造したと、されている。また同時代のカトリーヌ・メディチのルッジェーロというお抱え料理人が、オレンジやレモンなどのフルーツにカフェやハーブも駆使したシャーベットを、デザートとしてフランス貴族界へ初めて伝え、驚嘆されたという記述も残されている。

 しかし、そこで黙っていないのがシチリア人である。そもそも中世には、東方では氷の器に閉じ込めることで果汁を凍らせる技術が発達し、これを、当時、アラブ人の占領を受けたシチリア島がいち早く、取り込んだのではないか、という説だ。イタリア語でシャーベットを表すソルベットはアラブ語のシャルバートが語源だという。


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