フルーツの大半は、直接、農家から仕入れる
そこで、あまり舞台裏を語りたがらない茂垣さんにお願いし、おずおずと素材のことを訊ねてみた。
すると「ジェラートに使うフルーツの大半は、直接、農家から仕入れています」という返事が返ってきた。「ハーブなどもそうです。ミルクは北海道の牧場より送っていただくものを中心に使っています。季節感を大切に、日々提供するジェラートの種類を変えています」
品揃えに関して、大事にしていることはあるのだろうか?
「イタリアで定番の愛されているクラシックなものはできるだけ揃えているようにしています。ザバイオーネ(本来は、卵黄と砂糖、マルサラ酒で作るドルチェ)、ピスタッキオ、ノッチョーラ(ヘーゼルナッツ)などですね」
シチリア産ピスタッキオにアーモンド、ピエモンテ州のヘーゼルナッツ、ピサの松の実もすべて自ら探した農家から仕入れている。そこまでする理由は、単純に気に入ったものを使いたいからだという。
砂糖ひとつとっても、グラニュー糖、黒糖、和三盆、三温糖、ハチミツ、トレハロース、フルクトース……素材との組み合わせで使い分ける。
果実も火を通したり、生のままだったり、そこに様々なハーブやお酒を加えたり、生クリームやヨーグルトを使ったり、まさに組み合わせは無限。奥深い世界である。
そこで、たとえば、月桂樹とホワイトチョコ、燻製塩のジェラート、カボチヤとマスカルポーネとサルビアのジェラート、ゴルゴンゾーラとナシのジェラート、アプリコットとグルーンペッパーのジェラート、ピンクグレープフルーツとスパークリングワイン……とオリジナルジェラートの多さが、この店のさらなる魅力だ。17歳から一流の料理人を目指した長い時代の経験が、その創造性を支えているのだろう。
「基本的にどんな素材でもジェラートにすることはできる。それが面白さでもあります」
「感覚に合わせて作る、イメージが先行する。それに料理と違って、ジェラートの配合に関しては、かなり化学的な分析も必要になる。こうしてあれこれやるけれど、頭でっかちになっては意味がない。結果、理想の食感が生まれて何よりおいしいものができるかどうかが全てですから。食材についてやバック グラウンドを語るよりも、お客さんがまた食べたいと思ってくれればそれでいいと思っています」
この夏の終わりの日、イチジクとメロン、ピスタッキオのジェラートを持ち帰り、生ハムとふんわりしたパンを買いこんで、サンドしたら、これまた絶品だった。
Gelateria Acquolina ジェラテリア アクオリーナ
目黒区五本木1-11-10 TEL: 03-5708-5787
http://www.acquolina.jp/
≪営業時間≫
平日 13:30 ~ 23:00 土日祝 12:00 ~ 23:00
火曜定休(祝日除く)
土日のみ、ソフトクリームマシーンが稼働、パフェも楽しめる。
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