この政策の結果、援助を求めるヘルプラインの電話も禁止前の2100件(05年)から746件(11年)に激減。昨年、ギャンブル行動の自己モニターシステムも取り入れ、ギャンブル歴(使った時間とお金)を自分で知ることができるし、時間や金額の限度をあらかじめ設定することもできる。
自分のギャンブルのやり方が安全かどうか、査定もできれば、援助が必要なら、クリックすれば援助資源の情報にアクセスできる。13年、ノルウェーにおける最新の有病率は0.6%であり、05年時の1.7%より1.1%下がった。
ギャンブル依存は回復できる病気である。治療には認知行動療法や同じギャンブル問題を抱えた人の集まりである自助グループへの定期的な参加が有効である。しかし残念なことに、世界的に、ノルウェーでさえほとんどのギャンブラーは治療や回復の場に登場しない。だからこそ、事前に依存症患者が増加しないような対策を打っているのである。
予防策としての責任ギャンブリング政策の実施がギャンブル依存への最も有効な解決策である。もともと有病率が高いのに、いままで何も策を講じてこなかった日本が、はたして、ノルウェーのような国をあげた害最小化政策に取り組む覚悟があるだろうか?
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