2024年4月27日(土)

Wedge REPORT

2014年10月16日

 中国は当然、SMRの輸出を視野に入れているが、これらの炉に続く有望炉として位置付けているのがトリウム溶融塩炉だ。トリウム資源が豊富な中国にとって、トリウムが利用できれば、ウラン確保の制約を免れることができる。

 中国がトリウム溶融塩炉にどのくらい本気かは、予算と人員からも分かる。予算についてはほとんど公表されていないが、17年に完成が予定されている溶融塩炉実験炉には3億5000万ドルがついているという情報もある。

 人員は、現在500人程度とみられているが、溶融塩炉の「コールド基地」と指定されている上海市嘉定区では22年までに1900人規模、「ホット基地」と指定されている江蘇省大豊市では1300人規模まで拡大することを見込んでいる。ちなみに、日本のHTGR研究・技術者の数はメーカーも含めてわずか150~200人程度である。

 中国は溶融塩炉の開発を米国(エネルギー省)と組んで進めており、すでに米国の研究者が中国の溶融塩炉プロジェクトに参加している。中国側の責任者は、江沢民元国家主席の子息、江綿恒・中国科学院上海分院長だ。

 中国は原子力産業を「戦略性新興産業」と位置付け、国をあげてバックアップしている。中国が日本を追い越すのもそう遠くないだろう。すでに追い越されているという指摘もある。

  
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◆Wedge2014年7月号

 


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