Wedge REPORT

2014年10月28日

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 各国はこうした動きに対する本格的な取り締まりに総じて及び腰だったが、それには各国が取り締まった場合はシリア紛争でイスラム過激派支援に費やされる資源が自国での政情・社会不安につながることを嫌い、こうした活動を放任していた側面があることを見のがすことはできない。

米国、アラブ有志国が行った空爆 (U.S.AIR FORCE/REUTERS/AFLO)

 最近では、欧米諸国出身の「イスラム国」戦闘員の問題が治安上の不安要素として注目されているが、欧米諸国では自己実現の方途を見出せない不満層がイスラム過激派の勧誘対象となっている模様で、ここでも本来送り出し国が取り組むべき社会問題が紛争地であるイラクやシリアに転嫁されている部分がある。

 確かに、「イスラム国」の資源供給元となった各国では、政府の政策としてその「イスラム国」支援が行われたわけではない。しかし、「イスラム国」のための資源の調達が、各国の不作為の下で拡大したことも事実である。

 9月25日、国連安保理は「イスラム国」などに加入しようとする人員の移動を阻止する立法を加盟国に義務付ける安保理決議2178号を採択した。ここでようやく、「イスラム国」への資源供給への対策が端緒についたのである。

 ただし、「イスラム国」対策で焦点となる諸国はトルコ、湾岸諸国、チュニジア、リビアなどであり、ここに、シリア、イラン、イラクなど上記の諸国と利害が対立する国々といかに連携するか、という難題も関連してくるため、各国が短期間のうちに足並みをそろえて対策を取るのは難しい。

今後も続く「対症療法」

 それ故、今後も「イスラム国」対策は対症療法的・逐次的に講じられることが予想される。そして何よりも、アメリカを含めこれまで「イスラム国」を放任し、成長させた諸国がそうした態度を根本的に改めることなしに「イスラム国」への攻撃に乗り出したという皮肉な現実こそが、「イスラム国」対策の長期化は必至である、との見通しの背景にある。

*関連記事:北大生支援の元教授・中田考氏が語る「イスラム国」

  
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◆Wedge2014年11月号

 

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