2024年12月23日(月)

韓国の「読み方」

2014年10月29日

 韓国のソウル中央地検が10月8日、朴槿恵大統領の名誉を毀損したとして産経新聞の加藤達也前ソウル支局長を情報通信網法違反で在宅起訴した。メディアによる権力者に対する名誉毀損を刑事処分の対象にするのは、民主主義国家では極めて珍しい。

 私は、問題となった記事について「引用元となった朝鮮日報のコラムと実質的に同じ内容」という産経新聞の主張には与しないし、産経新聞の記事が良質なものとも思わない。さらに言うならば、日本の名誉毀損訴訟でも、「噂を噂として書いただけ」「真偽不明の噂だと断った」という主張だけでは免責されない。だが、それでも刑事処分の対象とすることは明らかに行き過ぎだ。言論の自由を脅かす今回の在宅起訴は、異論や批判を許さない朴大統領の姿勢と政権の意向に忠実な韓国検察の体質を改めて見せたものといえるだろう。

「外信だって韓国の法律に従わなければならない」

 その点を明確にした上で、今回は、今まであまり指摘されてこなかった点について考えてみたい。

 在宅起訴を受けた韓国側の反応で興味深かったものの一つに、「外信だって韓国の法律に従わなければならない」というものがある(韓国では通常、外国メディアのことを「外信」と呼んでいる)。

 与党セヌリ党の院内報道官は10日の記者会見で「虚偽報道行為が大韓民国で行われたのだから『治外法権』の対象になることはできない。我が国で法を犯したのなら、国内法が適用されることは、あまりにも当然だ」と述べた。大手紙・中央日報も11日、「産経前支局長の起訴に対する我々の見方」と題した社説で「(検察は)外信の報道も治外法権の領域にはないことを明確にした」と書いた。これ以外にも、「外信記者だからといって許されるものではない」という論評はよく聞かれた。

 本来は、外信であろうが、国内メディアであろうが、こうしたケースで在宅起訴にまで持ち込むこと自体が問題だ。だが、あえてそれを無視して考えるならば、一般論として「外信記者だって任国の法律を守るべき=外信記者に特権があるわけではない」というのは当然だろう。当たり前のことだから、恐らく日本や米国では、こうした発言自体が出てこない可能性が高い。


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