オトナの教養 週末の一冊

2014年10月31日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――気になるその結果とは?

鹿又:特に明らかなのは、大学進学に有利な高校に進むと、有力な大学に進めるという結果です。さまざまな要因を考慮した結果、高校のランキングが進学する大学のランキングにつながるということです。その点を確認出来たのは、新しい点でもありますし、これまであまり確かめられていないことでもあります。

――それは男女ともにでしょうか?

鹿又:女性の場合、2005年のデータで捉えることが出来た難関大学進学者は少ないため、ハッキリとしていない部分が多い。また、過去には女性が4年生大学よりも短期大学へ進学することを望まれた時代もあったため、男性のように明らかな高校と大学のトラッキングが作られてこなかったこともあると思います。

――大学進学に有利な高校へ進むことと、親の所得や出身階層はまったく関係ないのでしょうか?

鹿又:関係ないわけではありません。親の階層や学歴、所得だけを取り上げれば当然影響はあります。ただ、その他の要因をすべて考慮すると、高校から大学へのトラッキングや進学意欲、成績が重要であるとなるのです。

――研究の今後の課題はありますか?

 課題というよりは残された疑問はあります。まず、進学意欲の問題。なぜこれが作られるのかです。高校進学に関しては中学3年生の時点での意欲を、高校進学に近い時期に聞いているので、進路が決まっている子も多く、それだけ強く出てきます。しかし、大学進学に関しても、進学意欲が強く出ているのは、中学3年生時点での意欲が継続している。それは家庭の雰囲気なのか、なぜつくられるのか疑問です。

 また、人の人生にはさまざまなことがあり、時々躓くこともあります。それによって進学も職業的な地位も獲得出来ないということが起こってくる。ただ、その躓きは原発的なのか、逐次的なのかというのも疑問です。たとえば、母子家庭で育ち、それが後の人生にまでずっと影響しているのか。それとも影響というのが逐次的で、その時だけうまくいかなくなるのか。そういう視点で分析できないかなとも思うのですが、統計的に分析するのが難しいですね。

――研究者以外の方に、この本をどんな風に読んで欲しいと思いますか?

鹿又:冷静に比較して、物を確かめる。そういうことが伝わればと思っています。つまり、たとえば文化資本論の説明や、格差社会のデータを聞いて、その視点で物を見ると、そういう見方で見てしまう。ですが、本当はいろんな説を比較しないとわからないのです。そのなかで有力なものを選ぶしかない。科学的に判断するとはそういうことなのです。ですから、冷静に物を見て、判断して欲しいと思います。

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