地域再生のキーワード

2014年12月1日

»著者プロフィール
閉じる

磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

 資金提供の見返りは、巻末への氏名掲載と完成した本の送付。さらに、屋敷林で採れたタケノコの佃煮や中甚兵衛が使っていた河内扇を模した扇子などを用意し、3000円から5万円の出資を募ったのだ。

 目標額は160万円。実際にやってみるまで、資金が本当に集まるのかどうか、メンバーの誰にも見当はつかなかったという。結果は目標をクリアする173万円。クラウド・ファンディングは成立した。東大阪や河内地区の人だけでなく、東京や静岡などからも資金が寄せられた。地元のたくさんの企業も快く協力してくれた。

 完成した『中甚兵衛物語』は、地域の学校などから問い合わせがあれば、無料で届けている。図書室に置いたり、副読本として使ったりする動きが広がっている。何より、「河内」を売り出すためのツールになっている。

河内に眠る宝を発掘

幸田栄長さんと川中知子さん

 中甚兵衛の漫画本づくりで、幸田さんたちが考えている「町おこし」が終わった訳ではない。出来上がった漫画本の表紙には「郷土の偉人伝シリーズ1」と書かれている。つまり、プロジェクトは「続く」ということなのだ。

 「外国人観光客が増えていて、関西国際空港にもたくさんの人が到着していますが、河内の目の前を素通りですわ。世界の人に河内に寄ってもらえる宝を発掘して、磨かんとあきません」

 幸田さんはそう語る。

 屋敷林では定期的にさまざまなイベントを開催している。「歴史と緑の癒しのサロン」「落語会」「どんぐり拾いと工作教室」「焼き芋」。地域の人たちが集まる賑やかな会合が定着している。だが、屋敷林と中甚兵衛だけでは「河内」を売り出すのに十分ではない。

「河内観光局」の設立に集まった皆さんと

 8月30日、川中邸の広間で、「一般社団法人 河内観光局」の設立総会が開かれた。実は、河内の地は、古代からの歴史資産の宝庫であり、近現代の産業遺産も少なくない。ところが、市町村が分立しているために、そうした資産を十分に生かし切れず、宝の持ち腐れになっていると考えたのだ。

関連記事

新着記事

»もっと見る