本書に記された「世界中の無数の科学者による研究成果」はまさに、「ヒト生物学の理解におけるパラダイムシフトを意味している」。「存在」ではなく「不在」の影響が、個々人の健康どころか、やがては人類の存続をも脅かしかねないという重大な問題を提起した本書は、まちがいなく今年イチオシの科学読み物であろう。
著者の書きぶりも、切実な当事者意識からくる「情熱」と、科学ジャーナリストとしての「冷静」が絶妙な均衡状態を保っており、すがすがしく感じた。
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