2023年2月5日(日)

日本の漁業は崖っぷち

2014年12月2日

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片野 歩 (かたの・あゆむ)

水産会社社員

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『日本の水産資源管理』(慶應義塾大学出版会) 『日本の漁業が崩壊する本当の理由』『魚はどこに消えた?』(ともにウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著、『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

 日本海でも「ローソク」と表現される子どものサバが餌用に漁獲されて境港などで水揚げされています。ノルウェーでは、30cm以下のサバを食用以外で漁獲することができません。また、漁業者も個別割当制度なので、小サバを獲って貴重な漁獲枠を使用することはしません。2012年~2014年にかけてのサバが食用に回る比率を調査した資料(Pelagic Fish Forum分析)によると、ノルウェーやEUは食用が100%。日本は約64%となっています。ちなみに来年度の予想も、ノルウェーやEUは、ほぼ100%です。

 サバを餌にしてはいけないとは言いませんが、大きく成長して旬である秋の良い時期に漁獲すれば価格が上がる魚を、わざわざ小さくて価格が安い時期でも獲ってしまう。しかも産卵できるまで成長する前に獲る。これでは資源は持続的(サステイナブル・前回参照)にはなりませんし、将来性もないことは誰でも気づくはずです。

船の大きさを制限する日本

 日本の場合は、船が大きくなると、漁獲能力が増し、それだけ魚をたくさん獲ってしまう可能性があることから、大きさを制限しているようですが、次の2枚の写真を見て考えてください。船の大きさが資源に影響を与えているかどうかが分かります。

(左)作業が大変な日本のサバ水揚げ光景(撮影:青木信之)
(右)ノルウェーでのデンマーク船の水揚げ。全長86メートル。総トン数4,200トン。船の先端の方に見えるホースで水揚げが楽に行われています。乗組員は僅か6名。船員は約12名で、航海により交代制。一時間に50トン程度は楽に水揚げ可能。日本の水揚げとは作業時間と労働量が異なる。デンマーク船も個別割当(ITQ)

 左は銚子での水揚げ光景、右はノルウェーで水揚げしているデンマークの漁船です。左は20年以上前と変わらない光景です。右の漁船では、奥の方にあるポンプで、魚が一時間に50トン程度、鮮度を保ったまま吸い上げられていきます。20年以上前は、船も日本と変わらず、同じように網で水揚げしていました。しかも、このデンマーク船の中(下写真)は客船並に奇麗で、船内には靴を脱いで入ります。船にはジムがあったり、ロビーも豪華です。船長が、写真の魚探は5キロ先の魚も見つけられるのだと自慢気に説明してくれましたが、その機械は日本製でした。

豪華な船内。これが漁船。中には靴を脱いで入ります。船長ご自慢の船内の魚探やレーダーは日本製。良くみると日本語で表示されている。

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