2022年8月18日(木)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2015年2月25日

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中島厚志 (なかじま・あつし)

新潟県立大学国際経済学部教授

1952年生まれ。東京大学法学部卒。日本興業銀行入行。パリ興銀社長、みずほ総合研究所チーフエコノミスト、経済産業研究所理事長などを経て2020年4月から現職。主な著書に『大過剰 ヒト・モノ・カネ・エネルギーが世界を飲み込む』(日本経済新聞出版社)。
 

日本経済はもっと体質強化を

 日本経済が安定成長を確たるものとするためには、もっと企業が収益増と賃金増を安定的に実現すると同時に、外的なショックによる経済への影響を極力低減しなければならない。

 なにより、企業の役割は大きい。それは、企業が一層持続的に業容を拡大し、それによって安定した収益増と雇用賃金増を実現させることである。もちろん、業容拡大を図るには、イノベーションやグローバル化などを通じて規模と範囲の経済性を最大限確保することが欠かせない。

 同時に、企業の開廃業率が欧米主要国の半分程度しかない日本では、競争を通じた企業の新陳代謝も一層進めなければならない。新規参入企業の生産性や雇用増加率は退出企業より高く、新陳代謝の促進は経済基盤を強固にする。

 一方、政策対応としては、円相場の安定を図り、緩やかなインフレを定着させることが重要である。それは、経済ショックの影響低減と持続的な安定成長の基盤を固めることに他ならない。

 また、ショックの影響を受けやすい製造業より売り上げが安定しているサービス業等が経済を牽引する産業構造に持っていくことも、経済ショックへの抵抗力を強めることになる。

 日本経済は今年大きく回復に向かうと見込まれる。しかし、日本経済の現在の体質では景気のアップダウンが激しいまま残り、好循環経済定着の妨げとなる可能性が強い。さいわい円高等企業を取り巻く経済環境は大きく好転しており、今こそ経済ショックに脆弱な日本経済の体質強化を図らなければならない。

  
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